スポーツは健康に良い。ならばスポーツ選手は一般人より健康的なはず。漠然とそう考える人は多いかもしれません。
ところが、そのスポーツ選手の中でもトップレベルの集団であるオリンピック選手たちは慢性疾患に罹る比率が一般人より高い。そんなショッキングな事実を報告した研究(*1)があります。
*1. Asthma and exercise-induced bronchoconstriction in athletes: Diagnosis, treatment, and anti-doping challenges
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/sms.14358
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/sms.14358
その慢性疾患とは喘息(ぜんそく、英語: asthma)です。
上の研究によると、オリンピック選手たちの15~30%が喘息を患っているのだそうです。この数字は全スポーツの平均であり、スポーツによってバラつきがあるとのこと。
喘息に苦しむ選手が多いのは耐久系スポーツに分類される、長距離走、トライアスロン、水泳、そして冬季オリンピックではクロスカントリースキーやバイアスロンなどの種目です。
喘息の原因になるのは大気汚染や食習慣だと考えられてきましたが、どうやら長時間の有酸素運動によって引き起こされるケースもあるようです。彼らは筋肉だけでなく、心肺臓器も酷使しているのでしょう。
喘息に罹ると呼吸困難になることや、肺に長期的なダメージを与える可能性もあります。治療せずに放置することは大変に危険なのですが、アスリート、とくにオリンピック選手たちにとっては別の重大な問題があります。
それは喘息の治療に利用できる薬品の多くは、アンチ・ドーピング規則に抵触することです。
その結果、喘息の症状に悩みながらも、有効な治療の手段を取れない選手も多いと、論文著者たちは警鐘を鳴らしています。
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