2024/04/28

懲役27年間を経て出所したアスリートがクロスフィット・ゲームズ準々決勝ラウンドに出場


 







2024年4月25日付で『Barbend』に公開された記事に感動したので、紹介します。

コロラド州オーロラのCrossfit Mach 983でコーチを務めるトレバー・ジョーンズさんが2024年のクロスフィット・ゲームズ準々決勝ラウンドに進みました。結果は45-49歳の部で約2400人中1223位。各部門トップ200人が選ばれる準決勝ラウンドには遠く届きませんでした。

ジョーンズさんはオープン・ワークアウトに過去8年間挑み続けてきましたが、正式に登録したのは今年が初めてでした。なぜなら、ジョーンズさんは17歳のときに殺人罪で有罪となり、その後27年間を塀の中で過ごしてきたからです。

矢吹丈は少年院で「明日のために」ボクシングを学びました。丹下団平が送ってくる葉書だけが頼りでした。

ジョーンズさんにクロスフィットへの道を示したのはCrossfit Mach 983のオーナー、フレッド・デイトンさんです。

デイトンさんは刑務所内で運動を通じたリハビリを提供する非営利活動「Redemption Road Fitness Foundation」に参加していたのです。クロスフィット・トレーナーL1と L2の資格を取得するプログラムもありました。

ジョーンズさんは2018年にL1、2019年にはL2を取得。そして昨年6月、27年振りに出所したときには45歳になっていました。デイトンさんはジョーンズさんをコーチとして迎え入れました。

ジョーンズさんは次のように述べています。

「クロスフィットは私に毎日を生きるための励みと意義を与えてくれました。私が今ここにいるのは、クロスフィットが(刑務所のなか)で私にしてくれたことのおかげです」

2024/04/23

マーフの分割法:ピラミッド方式とスーパーセット方式

 













さて、もうすぐマーフの季節です。

2024年のメモリアル・デーは5月27日。それまでの1か月間は、クロスフィットではマーフをやるって決まっているからです。

  • 1600m走、プラス
  • 100回懸垂、プラス
  • 200回腕立て伏せ、プラス
  • 300回スクワット、プラス
  • 1600m走、

それも重量ベストを着けてねってクレイジーなワークアウトはもうお馴染みですね。

この通りにぶっ通しでやると大変きついものなのですが、もう少し取り組みやすくした分割法があります。

そもそもクロスフィット・ゲームズですら、20回懸垂+40回腕立て伏せ+50回スクワットを5セットでやってました。

合計の回数は同じでも、腕立てや懸垂をしながら脚を休め、スクワットをしながら腕を休めることで、ずっと楽にこなすことができます。

そもそも論で言えば、このワークアウトはきついことをするのが目的だと思いますので、根性や信念のある人はぶっ通しでやるでしょう。そうでない人には分割法は向いています。僕もここ何年かは分割法でしかやっていません。

military.com というそのまんまの名前のウェブサイトがこんなやり方を紹介しているくらいですので、分割法を恥じることはありません。

https://www.military.com/military-fitness/how-enhanced-murph-workout-will-benefit-you-during-log-pt

ピラミッド方式

  • 1セット目: 1回 懸垂、2回腕立て伏せ、3回 スクワット
  • 2セット目: 2回 懸垂、4回腕立て伏せ、6回 スクワット
  • 3セット目: 3回 懸垂、6回腕立て伏せ、9回 スクワット

この要領で回数を段階的に上げていき、
10セット目:10回 懸垂、20回腕立て伏せ、30回 スクワット を頂点にして、

そこからは
  • 11セット目: 9回 懸垂、18回腕立て伏せ、27回 スクワット
  • 12セット目: 8回 懸垂、16回腕立て伏せ、24回 スクワット
  • 13セット目: 7回 懸垂、14回腕立て伏せ、21回 スクワット
と回数を下げていき、
19セット目: 1回 懸垂、2回腕立て伏せ、3回 スクワット で終了。

スーパーセット方式

前述したクロスフィット・ゲームズでのやり方と同じように、同じ回数のセットを繰り返すものです。

5回 懸垂、10回腕立て伏せ、15回 スクワット を20セット。これはガールズWODのシンディーと同じです。

あるいは、10回 懸垂、20回腕立て伏せ、30回 スクワット を10セット。ややきつくなりますが、回数は一番数えやすいでしょう。




2024/02/27

プロのクロスフィッターは普通の人の3倍食べる

 


イギリスのフィットネス関連ウェブサイト『COACH』が興味深い記事を公開しました。

2023年のクロスフィット・ゲームズのヨーロッパ地区準決勝ラウンドに出場したアスリートたちに「いつもどんなもの食べてるの?」って尋ねて回ったものです。

あるアスリートは具体的に答え、あるアスリートはそうではなかったそうですが、何人かから1日当たり6,000カロリー以上という数字が出たそうです。

成人に健康に良いとされる摂取カロリー量は1日あたり2,000カロリーくらいですから、その3倍にあたります。

プロレスラーや日本のお相撲さんがどれだけ食べているかは知りませんが、プロのクロスフィッターも、食べる量だけを見ても一般社会とはかけ離れてきているようです。

「100語で説明するクロスフィット」には

"Keep intake to levels that will support exercise but not body fat"

(動くのに必要な分だけ食べろ、体脂肪にならないように)

とあるんだけどなあ。













「僕らはプロだから仕方なくやっているけど、普通の人は健康的な食事をした方がいいよ」とインタビューに答えたひとりが言ったそうです。



2023/12/01

クロスフィットの年間登録費が1.5倍増。ボックスオーナーは耐えきれるか

https://morningchalkup.com/2023/11/30/breaking-crossfit-llc-announces-affiliation-fee-increase-l2-requirement-for-owners/


クロスフィットのボックス登録費が3,000ドルから4,500ドルに値上げするそうです。この11年間で初めての値上げってことだけど、それにしたって一気に1.5倍増はないだろ。

「ただし、米国以外で経済的に苦しんでいる地域は除く」ってことですけど、日本もそれに含まれるでしょうか? 最近の円安もありますし。

それとボックス・オーナーはL2が義務化されるそうです。L1しか持ってないオーナーは何人も知ってますけど、彼らにとってもまた数十万単位の出費が必要となるわけで、「こんなん、やってられへんわ」ってクロスフットから離れるボックスがまた増えるんじゃないかな。

2023/11/14

クロスフィッターの食習慣とサプリメント摂取についての研究


 











タイトル通りの論文がれっきとした学術ジャーナル(JOURNAL OF THE INTERNATIONAL SOCIETY OF SPORTS NUTRITION)に発表されていました。

Dietary practices and supplement use among CrossFit® participants

論文著者らも大学のセンセイたちで、クロスフィットの回し者ではありません(たぶん)。

なかなか興味深い数字が並んでいますので、要旨を紹介します。


  • 回答者は2,576人。女性51.9%、男性48.1%。平均年齢は39.4歳。平均BMIは26.1。
  • クロスフィットの平均経験年数は5.3年。平均ワークアウト頻度は週に4.5回

  • 60.1%が何かしらのダイエット方法を実践している。マクロ栄養素とカロリー計算(18.6%)、断続的断食(7.7%)、パレオ・ダイエット(6.1%)
  • ダイエット方法の目的は、健康(45.6%)、体脂肪減少(29.2%)、クロスフィットのパフォーマンス向上(25.2%)
  • 82.2%が何かしらのサプリメントを摂取している。プロテイン (51.2%)、クレアチン (22.9%) 
  • サプリメント摂取の目的は回復(52.6%)、健康(51.4%)、筋肥大(41.7%)


週に4~5回はボックスに通うのを5年以上続けて、食べ物には気を使い、サプリメント摂取は欠かさないアラフォー。それがクロスフィッターの平均像のようです。あなたもそのひとりですか?




2023/10/05

全文翻訳:「クロスフィットは終わった」リッチ・フローニング率いるCrossfit Mayhemが発信したニュースレター

リッチ・フローニングのお父さんが作ったジムを発展させたCrossfit Mayhemはチーム競技でも何度も優勝したことがある名門ボックスですが、先週「Crossfit is Over」という件名のニュースレターを発信しました。

https://deal.town/mayhem-nation/crossfit-is-over-F3JCGEAGCE

直訳すれば、「クロスフィットは終わった」。

この衝撃的なタイトルにはどんな意味が込められているのか。あえて私見を述べず、できる限り原文に忠実な翻訳を試みてみます。読後の感想はコメント欄にどうぞ。

 

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 メイヘム関係者の皆様、おはようございます。

 

クロスフィットについて、どこから書き始めようかと迷っています。

 

クロスフィット はフィットネスの世界を大きく変えました。 しかし、最近になって状況の変化がいくつか起きていることはご存知の通りです。 さて、ここで熟考する価値のある質問です。クロスフィット はどこへ向かっているのでしょうか、そしてどのような将来が待っているのでしょうか。

 

まずは見逃すべきではない事実から。グーグルで「クロスフィット」や「クロスフィットのジム」といったキーワードが検索される数が2023年は前年以前より減少しています。クロスフィットに関連する情報に興味を持つ人の数が減ってきているのです。閉鎖するクロスフィットのジムの数は新規オープンするジムの数を上回っています。そう、マイナス成長です。憂慮すべきトレンドだと言えるでしょう。

 

この下降傾向をもたらしている原因は何なのでしょうか。逆転させる方法はあるのでしょうか。重大な質問になりますね。終わりのない議論になるかもしれません。要因や可能性はいくらでも考えられるからです。

 

私たちメイヘムは有意義な議論は歓迎するところです。まずここで、私たちの見解を明らかにしておきます。

 

それは拍子抜けするほど単純な見解でしょう。 すべては クロスフィットの コミュニティに関することです。

 

クロスフィットのコミュニティは、スポーツ界における他のどれとも似ていません。それは多くの人生を変えてきました。肉体的にも精神的にも、です。 不健康な生活習慣をポジティブに変換した人々がいます。人生に新たな目的と希望を見出した人々もいます。

 

多くの人々が人生を最大限に楽しむことを学びました。すべては一緒にワークアウトで汗をながすことから生まれた絆のおかげです。互いに励ましあうことで友情は深まり、そしてより良い自分自身に成長できることを知ったのです。

 

クロスフィット があなたの人生になんらかのポジティブな影響を与えたのなら、今こそそれを広めるときです。 あなたのストーリーを友人や知人に話して、地元のボックスで体験してみることを勧めてみましょう。

 

忘れてはなりません。コミュニティこそがすべての始まりなのです。 それこそがクロスフィットの本質です。

2023/03/02

オープン23.3 ー ウォール・ウォーク、縄跳び2重跳び、そしてスナッチ

 







https://games.crossfit.com/workouts/open/2023/3?division=1


Starting with a 6-minute time cap, complete as many reps as possible of:


5 wall walks
50 double-unders
15 snatches (weight 1)
5 wall walks
50 double-unders
12 snatches (weight 2)

*If completed before the 6-minute time cap, add 3 minutes to the time cap and complete:

20 strict handstand push-ups
50 double-unders
9 snatches (weight 3)

*If completed before the 9-minute time cap, add 3 minutes to the time cap and complete:

20 strict handstand push-ups
50 double-unders
6 snatches (weight 4)

♀ 65 lb, 95 lb, 125 lb, 155 lb
♂ 95 lb, 135 lb, 185 lb, 225 lb


どうやらウォール・ウォークはこれからクロスフィット・オープンの定番メニューになりそうですね。
誰にでもできるし、セットアップもジャッジも簡単だし、多くの人にメリットがあります。


残りの縄跳び2重跳びもスナッチも、クロスフィットをやってる人ならお馴染みですし、動作そのものは目新しくありません。

だけど、この回数と時間設定は絶妙ですね。

僕の予想では、参加者の半分くらいは最初の6分間で終わるでしょう。
3ラウンド目に進めたとしても、これを3分間で終わらせるのは一握りのトップ選手ではないでしょうか。

前週と同じで、前半は身軽な人が有利、後半はデカい人が有利ですね。個人的にはこの順番でありがたいです。逆だったら、スナッチが挙げられなくて、終わってしまうだろうから。

僕の目標は3ラウンド目の縄跳び2重跳びまで行くことです。その後のスナッチは絶対に無理だから、最初から存在しないものとします。



事後談:

さっきやってきました。予定通り、3ラウンド目のスナッチが1回もできずに終わりました。

2重跳び50回がunbrokenでできる人(日本人に多いと思います)は、スナッチはあまり焦らなくても、6分間で2ラウンドはいけますよ。

僕は1ラウンド目を5-4-3-3 って分けて、2ラウンド目は1回ごとにバーベルを落としましたけど、それでも5分40秒くらいでした。