2013/12/24

クロスフィットと格闘技

Crossfit Endurance でご紹介したように、クロスフィットのボックスには他競技のパフォーマンスを上げるためにクロスフィットをやる、という人が一定数います。その中でも格闘技選手は目立ちます。今流行の総合格闘技選手、キックボクサー、他にも空手や柔術などの選手で専門の道場以外のトレーニングの場としてクロスフィットに通う人達です。かく言う私も実はクロスフィットを始めたきっかけは空手の補強トレーニングにするつもりでした。
言うまでもないことですが、ある競技で強くなるにはその競技の練習をするのが一番です。それを大前提としたうえで、クロスフィットは格闘技選手の補強にはもってこいのトレーニング法だと私は思います。

スタミナ
スタミナと聞くと多くの人はマラソンなど長時間の有酸素運動を思い浮かべますが、格闘技の試合に必要なスタミナとは何時間もゆっくり動くものではなく、比較的短時間のインターバルを繰り返すためのものです。例えばボクシングは3分ラウンド、1分休みの繰り返しですね。空手の試合に出るなら、マラソンではなく、中距離のインターバル走がいい、とは昔からよく言われていて、私もよく800m走を5本とかやったものです。しかし、格闘技の試合は中距離走でもありません。一定のペースで走るわけでも、一方向に進むだけでもありません。一ラウンドの中でも、激しく動いたり、少し休んだり、急に動いたりします。 そのような種類のスタミナを養うには、クロスフィットのWODのように異なった種目を組み合わせて、しかも数分単位で全力をつぎ込むやり方は最適だと言えます。

パワー
格闘技とウェイトトレーニングは昔から切り離せません。重い重量を挙げて筋肉量を増やし、「体を大きくする」のは当たり前にように行われてきました。勿論、パワーアップは重要です。私がやっていたフルコン空手では、筋肉の鎧をつけて打たれ強くなる、ということも大切でした。
ですが、格闘技の試合ではゆっくり重いものを持ち上げても仕方ありません。また、ある筋肉だけに「効かせる」ための単関節の運動は、本来の格闘技の動きとは異なるものです。手打ちのパンチはダメだ、とよく言うのに、ベンチプレスで寝たままバーベルを上下させる運動ばっかりやってる選手がいるのは不思議です。
パンチでもキックでもあるいは投げ技でも、格闘技の技で必要とされるパワーは瞬間的に全身の力を1点に集中させるような体の動きから生み出されます。クロスフィットで重視されるオリンピックリフティングは、まさにそのような動きを体に覚え込ませるのに向いています。

スピード
スピードと言って多くの人が思い浮かべるのは100メートル走などの短距離走でしょう。トレーニングに短距離ダッシュを取り入れる格闘技選手は多いです。しかしながら、ここでも格闘技の試合で必要とされるスピードはそれとは違う種類のものです。瞬時に体の方向を変える、あるいはパワーを込めた打撃を出す、そんなスピードを養うには、短距離ダッシュよりもオリンピックリフティング、あるいはバーピーではないでしょうか。

バランス・身体コントロール
一般の人には意外かもしれませんが、格闘技にはバランス感覚がきわめて重要な要素になります。選手なら誰でも身に沁みているのではないでしょうか。組技系はまさに相手のバランスを崩す競技ですし、打撃系でもバランスの良い選手は技のキレが違います。そのために、バランスボールに乗ったりする選手は多いです。それも有効なトレーニング方法ではあります。クロスフィットで行う逆立ち歩行やキッピング懸垂、あるいはマッスルアップなどの体操系トレーニングは、そうした能力を高めることに大きな効果があります。元々、極真空手では昇段審査に逆立ち歩行があったと聞いたことがあります。

体幹トレーニング
格闘技に限らず、体幹は重要だ、というのが流行りのようになっていて、色々な体幹トレーニングがもてはやされています。しかし、体幹の強い選手が必ずしもそうした体幹トレーニングをやっているわけではなさそうです。強い選手は始めから体幹が強いか、あるいは体幹が強くなるような動きをしている、と考えたほうが良さそうです。クロスフィットでは、バーベルを持ち上げる、縄跳びをする、鉄棒で懸垂する、などといった一見は体幹とは関係なさそうな動きでも、意識すべきなのは体幹だと繰り返し教えられます。そうして知らず知らずのうちに体幹が強くなります。

格闘技選手よクロスフィットに来たれ!

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