2024/10/02

デッドリフト500㎏!ストロングマン・コンテスト王者の身体は一般人とどう異なるか、の研究

 










ストロングマン・コンテストという競技を知っていますか?

巨大なタイヤをひっくり返したり、トラックを引っ張ったり、ドラム缶を投げたりする力比べです。巨大な人たちが集まって、信じられないようなパワーを披露してくれます。


参照記事:人間の極限パワーに挑む「ストロングマン・コンテスト」


そのストロングマン・コンテスト世界大会で優勝歴があり、デッドリフト世界記録(500㎏!)も樹立したことがあるエディ・ホール選手の肉体が一般人とどのように異なるかを解剖学的に調べた研究(*1)が発表されました。

*1. Muscle and tendon morphology of a world strongman and deadlift champion


そんなの筋肉量がめちゃくちゃ多いに決まってるでしょ、と思うかもしれません。まさにその通りで、ホール選手の全身筋肉量は一般人の2倍以上あるということです。そこら辺は、わざわざ調べなくても、見たら分かりますよね。

しかし、それだけではありません。その筋肉がどこについているか、どの種類の筋肉が多いか、靱帯や腱との比率は、と掘り下げて分析していくと、興味深い事実が浮き彫りになりました。
  • ホール選手の下半身を安定させる小さな筋肉群(スタビライザー)は一般人の2.5倍から3倍くらいある。大きな筋肉を鍛えるだけでは、重いモノを持ち上げて、それを保持することはできない。
  • ール選手の大腿四頭筋は一般人の2倍あるのに対し、この筋肉につながる腱は30%しか大きくない。これは筋肉の成長が腱の成長を上回っていることを示唆しており、腱損傷のリスクが高まる可能性がある。

尋常ではないパワーは巨大な筋肉によって発揮されますが、外目に見えない部分も大切なようです。ただし、筋肉は鍛えられても、それを支える腱を鍛えることは難しいようです。

よく筋トレは故障予防のためにも提唱されますが、筋力を鍛えることは必ずしも故障リスクを減らすとは限りません。かつてプロゴルファーのジョン・デーリー選手がこんな発言をしました。

「筋肉は攣ることがあるけど、脂肪は攣らないよ」

2024/09/29

フィットネス系インフルエンサーのファンは運動習慣が多い、でも不安感も大きくなる。新研究の紹介

 













フィットネス系インフルエンサーをフォローする人たちは運動量が多くなる。しかし、メンタルヘルスに問題を抱えやすくなる。そんな研究結果(*1)がサイバー心理学ジャーナルに発表されました。

*1. Healthier but not happier? The lifestyle habits of health influencer followers
https://cyberpsychology.eu/article/view/21597


研究によると、フィットネス系インフルエンサーをフォローする人たちはそうでない人たちと比較して、まず「激しい運動」を行う率が高くなります。さらに野菜や果物の摂取量も多くなるそうです。ここまでは良い側面です。

しかし、メンタルヘルスに目を向けると、フォロワーたちは摂食障害やうつなどの問題を抱える確率がより高くなるのだそうです。

健康的なライフスタイルとやり過ぎの弊害は紙一重なのでしょうね。

運動にしても、栄養にしても、インターネットからの情報はほどほどに見ておけばよいのでしょうが、若い人は感受性が高いので、どうしても影響が大きくなってしまうのかもしれません。

研究対象となったのは、アメリカ、イギリス、そしてニュージーランドの英語圏3か国に住む、年齢18歳から35歳までの若い世代1,022人だそうです。従って、日本の若者や非若者とは事情が異なるかもしれません。でもきっと、共通点はあるのじゃないかと個人的には感じます。



2024/09/28

マッスルメモリーってホントにあるの? 新研究の紹介

 













マッスルメモリーって言葉があります。筋肉を鍛えると、長期間休んでも筋肉の細胞や神経系が過去の状態を「記憶」していて、再開後は以前のレベルに戻りやすくなるという話です。

つまり、筋トレは休む時期があっても構わないってことで、色々な事情でジム通いが続けられない人にとっては都合の良い理論です。

そのマッスルメモリーって現象は実在するのか?について調べた研究(*1)が発表されました。

*1. Muscle memory in humans: evidence for myonuclear permanence and long-term transcriptional regulation after strength training.
https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1113/JP285675?ck_subscriber_id=2049311529


研究の概要は以下の通りです。

方法:

  • 被験者は12人の筋トレ未経験者
  • 最初のトレーニング期間:片腕だけのダンベル・アームカールを10週間
  • 休息期間:16週間
  • 再トレーニング期間:両腕のダンベル・アームカールを10週間

結果:

最初のトレーニング期間で鍛えた腕の筋肉サイズは増えた(当たり前ですね)。休息期間を終わると、筋肉サイズは元に戻った(これも当たり前)。しかし、再トレーニング期間を経ると、過去に鍛えた腕は筋肉サイズがすぐに以前のレベルに戻り、最終的な向上率も別の腕より高かった。


筋トレを休んで、筋肉が萎んじゃったなーってお嘆きの人も、実は努力の結果はなくなってしまったわけではなく、ただ隠れているだけのようです。

「トレーニングを休んだら、取り戻すまでにその倍の時間がかかるんだ」なんて熱く語ってきた指導者には気の毒なのですが、どうやらそれは大ウソだったらしいのです。筋トレに関しては、って話ですけど。技術面やメンタル面はまた違うかもしれません。

何はともあれ、長いことバーベルもダンベルも挙げてないやって人は、もういちど筋トレを再開してみてはいかがでしょうか。




2024/09/26

筋トレするとボケない ー ハーバード医学大学も注目の研究

 













筋トレは脳にも良い影響を与える。物忘れが多くなったり、判断力が弱ってきた人は、筋トレをすると、脳の機能が向上する。

私が言っても説得力はないでしょうけど、そんな研究結果を報告した学術論文は実に多いのです。

そのうちのひとつ、オーストラリアの研究者たちによる下の研究(*1)は、かのハーバード医学大学のニュースレターにも紹介されました。念のためにお断りしておくと、私はその著者グループには参加していません。

*1. Mediation of Cognitive Function Improvements by Strength Gains After Resistance Training in Older Adults with Mild Cognitive Impairment: Outcomes of the Study of Mental and Resistance Training.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28304092/#full-view-affiliation-1


研究の被験者は軽度の認知障害を持つ 55 歳から 86 歳の女性 68 人と男性 32 人。ランダムに 2つのグループに分けられ、1 つのグループは 6 か月間、週 2 回、最大重量の 80% くらいの筋トレを行いました。もう 1つのグループは同期間ストレッチだけを行いました。

被験者たちは、研究の開始時と終了時、および研究終了から 12 か月後に認知テストを受けました。すると、筋トレグループは、研究終了時に開始時よりも大幅に高いスコアを獲得し、12 か月後もそのスコアを維持しました。ストレッチだけグループのスコアは若干低下しました。

さらに興味深いことは、筋力向上率と認知テストのスコア向上率は比例したとのこと。
つまり、筋トレをやればやるほど、アタマはすっきりするらしいのです。

重ねて念を押しますが、これは私の個人的経験ではありません。

きっと例外もあるはずです。いくら筋トレをやっても、物忘れがますますひどくなる人もいるでしょう。それも私ではありません。









2024/09/25

クロスフィット創始者グレッグ・グラスマンが新団体MetFixを創立

 







コロナウイルスや黒人差別に関する失言のオンパレードで自ら創設したクロスフィット組織を追われたグレッグ・グラスマンですが、その後も精力的に活動を行っています。

政府、医学界、ジャーナリズムは経済的利益を優先させ、誤った情報を操作して、人々の健康を脅かしている。クロスフィット時代からグラスマンは一貫してそう主張してきました。

彼が新たに設立したMetFixの公式ウェブサイトを見る限り、現段階では具体的に何をする団体なのかはイマイチ不明瞭です。

どうやら、パーソナル・トレーナーの教育を通じて、グラスマンの方法論を広めようとしているみたいです。


MetFixは「クロスフィットを作り上げたすべての経験を活かし、それをさらに進化させて、多くの人々を殺し、多くの国家を崩壊させている病気の蔓延と戦う」と宣言しています。


キャッチフレーズは"The Evolution of the Revolution"。「革命の進化」と訳すべきでしょうか。英語では見事に韻を踏んでいます。「クロスフィット」もそうですが、この人は優れたコピーライターの才能があると思います。

上の公式ウェブサイトに会員登録用のフォームがあります。


2024/09/24

カストロは競技より安全管理を優先させていた? クロスフィット・ゲームズ創世記のころの発言が脚光

 









クロスフィット・ゲームズの競技ディレクター、デイブ・カストロはすっかりワルモノになってしまっています。アスリート団体からは退陣を要求されています。

死亡事故が起きたにもかかわらず競技を翌日から再開させたこと。そのことを遺族にむりやり承知させたこと。そもそも救助体制がお粗末だったこと。そんな一連の対応が非難されているのです。

カストロは2007年の第1回大会から大会の運営責任者でした。と言うより、最初の数年は彼の親戚が所有する牧場を会場にしていたのですから、事実上は彼が始めた大会と言えるでしょう。

2008年、まだまだクロスフィット・ゲームズが世間的に知名度があまりなかった頃、カストロがこんなことを言っていたという動画が話題を呼んでいます。

https://imgur.com/a/2008-cf-games-documentary-every-second-counts-2xTqSTp


“If someone has to go to the hospital we are going to to take a break. … If someone gets fucking seriously hurt, you have to stop and rejudge. You don’t just continue on and fucking kill other people.


角谷訳:
もし誰かが病院に行かないといけないときは、競技を中断する。もし誰かが(ピー)ひどい怪我をしたら、そこで競技を中止して、採点を見直す。競技をただ続行して、(ピー)他の人を死なせたりはしない


言葉使いは乱暴で下品なんですが、と言うか、それがカストロ君の持ち味でもあるのですが、発言の主旨はしごくもっともで、彼が最初からムチャをしようとしていたわけではなさそうです。

しかし、今回の対応はその発言通りにはなりませんでした。カストロが人変わりしてしまっていたのか、それとも組織やスポンサーの意向で初志を貫徹できなかったのか。

CEOが公約した調査結果と新たな安全対策の発表は未だになされていません。


2024/09/23

就職するなら社長が筋トレをしている会社を選べ。Deadlift ETF

 













メタ (旧フェイスブック)の創業者兼CEOマーク・ザッカーバーグ氏は運動オタクで、柔術の大会に出場したりもします。

X(旧ツイッター)、テスラ、OpenAI、スペースX、など多くの企業を経営するイーロン・マスクは仕事人間で知られていますが、同時に筋トレや格闘技が大好きだそうです。ザッカーバーグ氏とMMAで戦う、なんて噂が流れたこともありました。

他にも、ティム・クック(アップル)、リチャード・ブランソン(ヴァージン・グループ)など、筋トレに熱心な経営者は枚挙の暇がありません。

筋トレや格闘技に取り組む経営者の企業は業績が伸びる。そんな調査結果が発表されました。





訳文: 
私が作ったDeadlift ETFは経営責任者が筋トレか格闘技をする(有酸素運動だけではない)企業だけを選びました。
そうした企業は過去4年間の株価上昇率がS&P 500を140%(2.4倍)上回っていました!


健康のために散歩を心がけています、なんて経営者は日経新聞の「私の履歴書」にも出てくるかもしれませんが、朝5時からデッドリフトで大汗かいたぜ、なんて経営者もそろそろ日本にも出てきそうなものですが。