2024/12/19

クロスフィット・ゲームズ安全対策委員会メンバーにあのレジェンドが参加

 








Luka Đukićさんの死亡事故をうけて、クロスフィット本部が公約していた安全対策委員会のメンバーが発表されました。

https://www.crossfit.com/crossfit-safety-board


8人のうち、医学博士が3人、アスレチックトレーナーが1人。ここまでは分かります。

残り4人はなかなか興味深い人選です。

  • ゲームズのスポンサー、フィットネス器具メーカー『Rogue』の重役
  • 国境パトロールの訓練教官
  • 米国マスター・ウェイトリフティング協会代表
そして、最後の1人が、あのリッチ・フローニングです。

クロスフィット・ゲームズがもっとも盛り上がっていた2010年代前半に4連覇を成し遂げた生きる伝説です。

日本プロ野球で言えば長嶋茂雄さんを連れてくるようなもので、これにはだれも文句をつけられないでしょう。

下は私が一番好きなクロスフィットの動画です。あの頃、リッチ・フローニングは我々にとって唯一無比のヒーローでした。意味もなく、ヘッドバンドしてワークアウトする連中、いましたね。








2024/12/17

歩数が多いほど、うつ病のリスクは小さくなる - 最新メタ分析研究

 













1日1万歩を歩くと健康に良いよって話をよく見聞きしますけど、それは身体的な健康だけではなく、メンタルヘルスにも関連があるらしいです。

つい最近、医学ジャーナル『JAMA Network Open』に掲載された研究(*1)によりますと、毎日よく歩く人はうつ病の発症リスクが減るのだそうです。

*1. Daily Step Count and Depression in Adults - A Systematic Review and Meta-Analysis

13 か国、 96,173 人の成人のデータを分析した結果、歩数とうつ病の発症リスクには強い関連性が認められました、1 日あたりの歩数が 1,000 歩増えるごとにうつ病の発症リスクが 9% 低下するということです。7,000歩以上歩く人の同発症リスクはそれより歩数が少ない人より31%も低くなることも分かっています。

とは言っても、1万歩も歩く必要はなく、7,000~8,000歩程度で十分らしいです。

駅前のタワーマンションに住む人より、駅まで徒歩20分のアパートに住む人の方が、メンタルヘルスを保つには条件が良いってことですね。

よく他でも引用していますが、ブルース・リーが次のように言っています。約半世紀も前にです。つくづく、偉大な人でしたね。

「なるべく歩くようにしなさい。たとえば、目的地から数ブロック離れた場所に駐車するように。エレベーターを使わずに、階段を上りなさい」





2024/12/15

健康診断はBMIよりVO2Maxを重視するべき ー 最新メタ分析研究の提言










BMI (Body mass index)とは体重と身長の関係を示す指標ですが、その数値はあてにならないとする批判は以前からあります。

よく言われるのが、筋肉質の人はBMIが高めに算出されがちだってことです。筋肉は脂肪より重いからという理由ですが、たしかにそれはあると思います。ちなみに私もBMI判定ではよく「やや肥満」とされます。

それに、痩せているか太っているかが必ずしも健康寿命を占うとは限りません。太っていても長生きする人はいますし、痩せていても短命な人もいます。

それでも健康診断では体重を測定して、その数値を云々されることが多いのですが、それよりもっと重要なのは心肺の健康度ではないか。最近発表された研究(*1)がそんな提言をしています。

*1. Cardiorespiratory fitness, body mass index and mortality: a systematic review and meta-analysis
https://bjsm.bmj.com/content/early/2024/11/07/bjsports-2024-108748


20個の論文、合計で約40万人のデータを分析した結果、心肺機能レベルが高ければ高いほどあらゆる原因による死亡率と疾病リスクが低くなることが分かりました。そのことにはBMIの大小は影響しないとのことです。

速い話、BMIよりもVO2Max(最大酸素摂取量)の方が健康度の測定に適しているということです。

VO2Maxは本来なら専門の施設でないと計測できないものですが、最近のスマートウォッチのほとんどが推定値を表示してくれます。利用しない手はないだろう、と私は思います。

関連記事:VO2Max(最大酸素摂取量)とは何かを有識者が解説!スマートウォッチで計測可能

ちなみに、Garminによると、私のVO2Maxは48。年代性別カテゴリーではトップ10%内、フィットネス年齢では20歳とのことです。けっして、これを自慢したかったわけではありません。








2024/12/09

クロスフィット業界きってのベストセラー(これしかない)『大人の部活』がKindle Unlimitedなら無料で読める

 

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はじめに

 
クロスフィットなるものを私が初めて知ったのはフェイスブックがきっかけでした。 友人が紹介していたユーチューブの動画。そこでは2011年度クロスフィットゲームズが繰り広げられていました。
 筋肉隆々の選手たちがバーベルを使ってウェイトリフティングをしていたと思ったら、30メートルぐらいの雲梯をやっていたり、壁に逆立ちして腕立て伏せをやったと思ったら、何やら重そうなソリを押して走っていたりしていました。
 一体これは何なのか? 競技なのか、トレーニングなのか、それとも一種のデモンストレーションなのか。それすらわかりませんでしたが、何やら熱くなるものを自分自身の内部に感じ、これをやってみたいと強く思いました。
 インターネットのおかげで最初の疑問はすぐに氷解しました。便利な世の中です。
 クロスフィットとはアメリカ発の1990年代から始まった比較的新しいトレーニングメソッドで、ウェイトリフティング、ランニング、鉄棒、ケトルベル、縄のぼり、メデシンボール、自重トレーニングなど多種多様な動きを組み合わせることにより、より実用的な効果を目指すものです。
スタミナ、パワー、柔軟性、スピード、巧緻性、バランス、反応力、などなど広範囲の運動能力を偏ることなしに高めることを目的にし、短時間に集中してトレーニングすること、毎回異なったメニューを組むことに特徴があります。
 私がユーチューブで見たのはそのクロスフィットの最高峰に位置する世界大会の動画でした。地球上で最もフィットな人間を選ぶ、がそのスローガンでした。
 幸運なことに、私が住む南カリフォルニアはクロスフィットの本場とも言える土地で、クロスフィットのジムは自宅近所に何箇所もありました。早速、そのうちの一つのジムに通い始め、私のクロスフィットにはまる日々が始まったのです。
 クロスフィットは私が期待した通り、いや予想を超えて楽しく刺激的でした。そして段々わかってきたのは、クロスフィットは競技と呼ぶより(その側面も勿論ありますが)、フツーの人が日常生活の中で刺激を感じ、健康になり、そして人生を楽しむことに役に立つものだということです。偶然とは言え、このような素晴らしいスポーツに巡り合えたのは本当に幸運なことだったと思っています。
 2016年現在のところ、クロスフィットは世界中でますます発展してますが、残念ながら日本では殆ど知られていません。グーグルでCrossFitと検索すると英語のサイトが山ほどヒットしますが、日本語の「クロスフィット」で検索するとほんの少しです。なにしろ、世界中に1万箇所を超えると言われているクロスフィット公認ジムが日本ではせいぜい10箇所ぐらいしかありません。
 この本を通じて、一人でも多くの方にクロスフィットなるものに興味を持ってくれることが私の望みです。それでは、南カリフォルニア在住1クロスフィット愛好家の私的クロスフィット体験記をどうぞお楽しみください。クロスフィットの入門書でも指南書でもましてや啓蒙本でもありません。冗談度70%、真剣度30%、だけど挙げる数字や情報にウソのない紹介本です。








2024/12/07

クロスフィットで医療費が減る ー 新研究の紹介

 













クロスフィットは意外にお金がかかる趣味です。私の近所では、月会費が200~300ドルくらいのジムがほとんど。現在の為替レートで計算すると、3~4万円になってしまいます。よくある24時間ジムのなかにはその10分の1くらいのところもありますので、費用の違いは際立っています。

しかし、クロスフィットのコストパフォーマンスはけっして悪くはない。なぜなら長期的には医療費を削減する可能性があるからだ。そんな研究(*1)が発表されました。

*1. CrossFit Participation and Medication Use: Observations from a UK Population Survey
https://www.lidsen.com/journals/icm/icm-09-04-066


研究の対象となったのは1,211人のクロスフィット愛好家たち。そのうちの280人(23%)はクロスフィットを始める前に少なくとも1種類以上の処方薬を使用していたということです。それだけの人が、以前はうつ、喘息、高血圧、糖尿病、慢性的な痛みといったさまざまな疾患に悩まされていたのです。

その280人に聞き取り調査を行った結果は以下の通りでした。

  • 処方薬の量を減らした ー54%
  • 処方薬を完全にゼロにした ー25%
  • 病院に行く回数が減った ー40%

論文著者は英国の研究者たちで、研究対象となったのは英国のクロスフィッターたちです。それでも、同じ人間のやること。似たような現象が他国で起きても不思議ではありません。

別にクロスフィットである必要はないかもしれませんが、運動によって健康になれるのなら、それは素晴らしいことです。同じおカネを払うのなら、私は薬代よりはジム会費に使いたい。別に病院や製薬会社に恨みがあるわけではありませんけど。