10年くらい前、Crossfit
Endurance というメソッドがありました。マラソンやトライアスロンなどの持久力系スポーツにクロスフィットのトレーニングを取り入れようとする考えです。
その頃はクロスフィットを他競技に活かすという発想が受けていました。格闘技選手やフットボール選手など、専門とするスポーツのパフォーマンスを上げることを目的としてクロスフィットに取り組む人が多く、そのような人たちのニーズに応えるため、Crossfit
Striking, Crossfit Footballなどの名前を冠した派生プログラムがありました。Crossfit
Endurance はその一つです。
Hyroxはワークアウトをひとつこなすたびに1000mを走ります。合計8000m。けっこう大変です。むろん持久走のみではありませんが、その比重はかなり大きいことは言うまでもありません。
マラソンなどの長距離レースでは、以前はLSD
- Long Slow Distanceを呼ばれる長い時間をかけてゆっくり走るトレーニングが主流でした。長い距離のレースを走るんだったら、練習も長い距離を走るんだって、至極当たり前というか疑問の余地すらなかったと思います。市民ランナーでもフルマラソンを走るなら月間トータルで200キロとか300キロとか走らないとダメなんてよく聞いたものです。高橋尚子選手が月1000キロ以上走った、なんて話まで聞いたことがあります。毎日30キロ走っても追いつかないのだから、凄まじいとしか言いようがありません。
Crossfit Enduranceではそれに対して、走るのは週2、3回にとどめて、残りの日をクロスフィットのトレーニングをすることを奨めています。走る日も長距離だけでなく、短・中距離のインターバル走を多くします。持久力を高めるためであっても、高い負荷をかけたインターバル系の運動がよりパフォーマンスを上げる効果がある、という考えです。
私自身はクロスフィットを始める前にも自己流でフルマラソンを走っていました。トレーニングはジョギングをやるだけで、レース前はその頻度や距離を普段より増やすぐらいが対策でした。フルマラソンのベストが4時間をようやく切る程度でしたから、それほど大して速くも遅くもない、ごくごく普通の市民ランナーです。
クロスフィットを始めてから、せっかくだから、ぐらいの気持ちでCrossfit
Enduranceのやり方に変えてみました。とは言っても、本格的にCrossfit
Endurance専用のメニューをやったわけではなく、単に毎日走るのをやめて、クロスフィットのボックスに通っただけですが。
1日走ったら、次の日はクロスフィット。
たまに朝走って夕方クロスフィットって日もあるので、両方とも週3、4回程度です。
このやり方を始めて半年後ぐらいのフルマラソンで自己記録を20分ほど短縮する約3時間半で走れました。これには自分自身もかなり驚き、それ以来このやり方を続けています。
毎日のように違うことをするので飽きがこないし、何より故障を全くしなくなりました。ひたすら走る練習だと、どうしても同じ箇所ばかりに負担がかかるのだと思います。一方でクロスフィットのトレーニングは全身を満遍なく鍛えられますし、知らず知らずに筋肉のバランスもよくなるのだと思います。そのせいでしょうか、以前はレースの後でひどい筋肉痛になったものですが、今ではフルマラソンを完走した翌日も殆ど普段と変わらなく活動できます。
このようにCrossfit
Enduranceの考えは少なくとも私には有効でした。格別にタイムがよくなったわけではありませんが、走る距離は以前の半分、トータルでトレーニングに使う時間も半分ぐらいです。Hyroxに挑む皆さんにもぜひお奨めしたいと思います。