2013/03/19

オープン予選の競技性、公平性について

現在進行中のクロスフィット・ゲーム2013オープン予選の意義を根底から危うくさせるニュースが飛び込んできました。


まずは経緯から。
  • CrossFit Grover Beachというボックスに所属するJosh Golden という選手がWOD13.2 で387という驚異的なスコアを提出した。その時点で全世界トップ。
  • この様子を撮影したビデオがYoutube に投稿され、それを見た人達からJosh Goldenの動きがルールに即していない、という意見が主にネット、ソーシャルメディアに殺到。
  • ゲーム本部の判断で、同選手のスコアは無効になり、本年度オープン予選からは失格。
  • 同時にボックス(CrossFit Grover Beach)も本年度オープン予選のスコアを認定する資格を失効。同ボックスの他の選手は次回以降は別のボックスで参加するか、自分でビデオを提出することを求められる。
公式発表はこちらです。

問題の動画を見ると、ボックスジャンプでは体を直立させていないし、プレスではバーベルをしっかり両肩まで下ろしていません。
確かに、このような動きはゲーム本部が発表した基準に合致していません。
それをスコアとして認めない、認めた審判にペナルティを科す、ゲーム本部の判断は正しいと思います。

ですが、それだけでいいのか? 今回のケースは氷山の一角であり、そもそもオープン予選のやり方に問題はないのか? そんな疑問が沸きます。

ご存知の通り、オープン予選のスコアを提出するには2つの方法があります。
1.ゲーム本部から認定されたボックスで競技を行い、そのスコアをボックスが認定する。
2.競技者本人が任意の場所で競技を行い、それを撮影したビデオを本部に提出する。

もちろん、1のボックスでやる人が圧倒的多数です。
動画の撮影もしなくてよいし、そもそも競技に必要な様々な設備を個人で用意するのは大変ですので。

今回の選手も所属するボックスで競技を行いましたが、ビデオを本部に提出したわけではありません。
たまたまか故意かはわかりませんが、本部ホームページではなく、Youtubeに投稿された動画が元で、今回の件が明るみになりました。

もしYoutubeに投稿されていなかったら、同選手のスコアはそのまま認定され、トップに立っていたはずです。
投稿されていたとしても、全世界10万人以上の参加者でトップになるようなスコアでなかったら、そのビデオも注目を集めなかったでしょう。私がこのブログにアップした動画を見て、判定をしようなんて思う人はいないように。

そうしますと、現在のオープン予選のやり方は競技としてみてどうなのか?
競技である以上、判定の公平性は何よりも優先されるべきですが、そのところはいわば性善説に基づいた極めてあやふやなものになっています。

多くの参加者はボックスに月謝を払っています。
ボックスにとってはお客様です。
お客様のスコアをボックス経営者が認定するわけですので、そこに何かしらの情実(同情、機嫌取り、など)が発生するのはむしろ自然のなりゆきとも言えます。

今回の本部の決定は一罰百戒を期待しての措置なのかもしれませんが、クロスフィット・ゲームをイベントではなく競技としてとらえるなら、もっと踏み込んだ抜本的な改革が必要でしょう。

私、管理人は以下のような制度変更を提言します。

  • 複数のボックスが一箇所に集まり、スコアの判定は選手と所属先が異なるボックスのジャッジが行う、 あるいは
  • 全ボックスに動画撮影を義務付け、本部が抜き打ち検査をする、各部門のトップ20スコアは本部がビデオで再審査をする
急激に拡大した、だけど歴史の浅い競技です。
今回明らかになった問題を個人のモラルの問題に留めず、より良い方向に進めていってほしいと思います。



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