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2025/01/24

ハーフでもフルでもスクワットの筋肥大効果は変わらない ー 新研究の紹介

 











スクワットをするときはしっかりしゃがんで、お尻を膝と平行か、それより低い位置に落とすことを教わってきました。いわゆる「フル・スクワット」です。一方で膝を直角以下にしか曲げないで行う動作は「ハーフ・スクワット」と呼ばれます。

クロスフィットではフル・スクワットでないと「ノーレップ」として、回数にカウントさせません。

スクワットに限らず、あらゆる筋トレ種目で、可動域いっぱいで動作することが一般的には正しいフォームだとされます。そして、「正しいフォームで行わないと効果が出ませんよ」とはインストラクターの常套句です。

ところが、大腿四頭筋をデカくする、という目的に関しては、フル・スクワットでもハーフ・スクワットでもその効果にあまり大きな違いはないとする研究(*1)が発表されました。

*1. Knee flexion range of motion does not influence muscle hypertrophy of the quadriceps femoris during leg press training in resistance-trained individualsFor correspondence:
https://sportrxiv.org/index.php/server/preprint/view/502/1079


実験はスクワットではなく、レッグプレスのマシーンを使って行われました。









"Leg-press-2-1024x670" by Everkinetic is licensed under CC BY-SA 3.0.


方法は以下の通りです。

  • 被験者は23人の筋トレ経験者
  • レッグプレスは片足ずつ行う。
  • 片足は可動域を100度以下、別の足は可動域いっぱい(154度)
  • 週2回のワークアウト(1セット8~12回を限界まで)を8週間
結果はどちらの足も大腿四頭筋の筋肉量は2.2% ~ 7.3% の増加が認められました。そしてその増加率は両方の足に有意の差は生じませんでした。

つまり、レッグプレスは可動域いっぱいに動作してもしなくても、筋肥大効果に大した違いはないということになります。

この結果から、スクワットはフルじゃなくてもいいよ、と言い切ってしまうのは早計です。レッグプレスとスクワットは厳密には違う動作ですし、どちらも大腿四頭筋だけをターゲットにしているわけでもないからです。

少なくとも、ハーフ・スクワットはフル・スクワットに劣ると考えなくてもよいみたいです。ハーフ・スクワットはより重い重量を扱うこともできますし、腱や関節への負担も少ないかもしれません。








2025/01/17

筋トレをするとモテるのは男だけではなかった ー 新研究の紹介

 













筋トレをするとモテるか? という話題は個人的な自慢かあるいは自虐に陥りがちです。あなたがモテるのは筋肉のおかげかもしれませんし、別の要因(顔立ち、ユーモアのセンス、おカネ、などなど)が大きいせいかもしれません。逆も然りです。

それでは、データの範囲を広げて、筋トレをする人はモテる全体的な傾向があるか否か? についてワシントン州立大学の研究者たちが調べた論文(*1)が発表されました。

*1. Strength, mating success, and immune and nutritional costs in a population sample of US women and men: A registered report
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1090513824001235?via%3Dihub


他にもっと研究するべきことはあるんじゃない? とは思いますが、研究者たちは真剣なようです。論文が掲載された学術誌のタイトルは「人類の進化と行動学ジャーナル」(Evolution and Human Behavior)。人類学の研究であって、ジムやサプリメント会社の宣伝ではありません。


研究方法は以下の通りです。

  • 2013~2014年にかけて、米国に在住する4,316人のデータを解析
  • 筋力の強さは握力で評価
  • モテるかどうかは一生で獲得するセックス・パートナーの数で評価

結果として以下の事実が判明しました。

筋力が強い男性と女性はどちらもセックス・パートナーの数が多くなる。

一般的に、筋肉質の男性はそうでない同性よりもモテるようなイメージはありますし、だからこそ若い男の子たちは筋トレに励むわけですが、実は女性にもそのセオリーは通用するらしいのです。筋トレをする女性は(も)、モテるのです。

何しろ人類学の研究ですので、論文著者たちは上の理由を進化論に求めようとします。従来の「男性は狩猟をするので、女性は力の強い男性を好む」だけではなく、「女性は子育てをするので、男性も子どもを何人も抱っこできる女性を好む」かもしれないのだそうです。

まあ分からなくはありませんが、ちょっとその論旨展開は無理があるのではないだろうかと個人的には思います。筋トレをするー>活動的になるー>出会いが増える という図式の方が現代事情にマッチしているのではないか。浅学菲才な私はそう愚考します。

誤解のないように書いておきますが、私が何十年も筋トレを続けているのはモテたいからではありません。肉体的な苦痛を乗り越えることによって、魂を磨いているのです。


モテたいためのロックンローラー
あなた動機が不純なんだわ

山口百恵『ロックンロール・ウィドウ』より








2024/12/17

歩数が多いほど、うつ病のリスクは小さくなる - 最新メタ分析研究

 













1日1万歩を歩くと健康に良いよって話をよく見聞きしますけど、それは身体的な健康だけではなく、メンタルヘルスにも関連があるらしいです。

つい最近、医学ジャーナル『JAMA Network Open』に掲載された研究(*1)によりますと、毎日よく歩く人はうつ病の発症リスクが減るのだそうです。

*1. Daily Step Count and Depression in Adults - A Systematic Review and Meta-Analysis

13 か国、 96,173 人の成人のデータを分析した結果、歩数とうつ病の発症リスクには強い関連性が認められました、1 日あたりの歩数が 1,000 歩増えるごとにうつ病の発症リスクが 9% 低下するということです。7,000歩以上歩く人の同発症リスクはそれより歩数が少ない人より31%も低くなることも分かっています。

とは言っても、1万歩も歩く必要はなく、7,000~8,000歩程度で十分らしいです。

駅前のタワーマンションに住む人より、駅まで徒歩20分のアパートに住む人の方が、メンタルヘルスを保つには条件が良いってことですね。

よく他でも引用していますが、ブルース・リーが次のように言っています。約半世紀も前にです。つくづく、偉大な人でしたね。

「なるべく歩くようにしなさい。たとえば、目的地から数ブロック離れた場所に駐車するように。エレベーターを使わずに、階段を上りなさい」





2024/12/15

健康診断はBMIよりVO2Maxを重視するべき ー 最新メタ分析研究の提言










BMI (Body mass index)とは体重と身長の関係を示す指標ですが、その数値はあてにならないとする批判は以前からあります。

よく言われるのが、筋肉質の人はBMIが高めに算出されがちだってことです。筋肉は脂肪より重いからという理由ですが、たしかにそれはあると思います。ちなみに私もBMI判定ではよく「やや肥満」とされます。

それに、痩せているか太っているかが必ずしも健康寿命を占うとは限りません。太っていても長生きする人はいますし、痩せていても短命な人もいます。

それでも健康診断では体重を測定して、その数値を云々されることが多いのですが、それよりもっと重要なのは心肺の健康度ではないか。最近発表された研究(*1)がそんな提言をしています。

*1. Cardiorespiratory fitness, body mass index and mortality: a systematic review and meta-analysis
https://bjsm.bmj.com/content/early/2024/11/07/bjsports-2024-108748


20個の論文、合計で約40万人のデータを分析した結果、心肺機能レベルが高ければ高いほどあらゆる原因による死亡率と疾病リスクが低くなることが分かりました。そのことにはBMIの大小は影響しないとのことです。

速い話、BMIよりもVO2Max(最大酸素摂取量)の方が健康度の測定に適しているということです。

VO2Maxは本来なら専門の施設でないと計測できないものですが、最近のスマートウォッチのほとんどが推定値を表示してくれます。利用しない手はないだろう、と私は思います。

関連記事:VO2Max(最大酸素摂取量)とは何かを有識者が解説!スマートウォッチで計測可能

ちなみに、Garminによると、私のVO2Maxは48。年代性別カテゴリーではトップ10%内、フィットネス年齢では20歳とのことです。けっして、これを自慢したかったわけではありません。








2024/11/24

クレアチン摂取で期待できる筋肉増加はどれくらいか? 12の研究を統合解析したメタアナリシス

 













世の中には筋肉を増やすためのサプリメントは数えきれないほどありますが(どなたか数えてみてください)、そのなかでもっとも効果と安全性が科学的に証明されていて、ドーピング規制に抵触する恐れが少なくて、しかも簡単に手に入るものを探すとすれば、たぶんクレアチンはプロテインパウダーに次ぐのではないでしょうか。

では、クレアチンを摂取すると、実際にどれくらいの筋肉が増やせるの? という疑問を調べた論文(*1)が発表されました。1,700件近くのデータから12個の既存研究を選び、それらを統合解析したメタアナリシスです。

*1. The Effect of Creatine Supplementation on Resistance Training-Based Changes to Body Composition: A Systematic Review and Meta-analysis
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39074168/


50歳以下で日常的に筋トレをしている人、という条件下での平均値は以下の通りなのだそうです。

  • 筋肉量増加:1.1 kg
  • 脂肪量減少:0.7 kg


むろんあくまで平均値の話ですので、個人差はあります。クレアチンをたくさん摂取しても、筋トレが不足していたら筋肉は増えません。クレアチンを摂らなくたって、筋トレをすれば筋肉は増えます。

どこまでがクレアチンのおかげで、どこからが筋トレの効果なのか。その線を引くことは不可能か非常に困難なのだろうと想像できます。

それでも、もしクレアチンを摂取していて、上の数字を極端に上回っていたり、あるいは下回っているのであれば、一度立ち止まって、筋トレと栄養摂取のやり方を見直した方がよいかもしれません。



2024/11/09

52歳が筋トレしても、22歳が筋トレしても、筋肉が受けるダメージは同じ ー 新研究の紹介

 













国際スポーツ医学ジャーナルに発表された研究(*1)によると、トシをとると筋肉のダメージが大きくなるとか、回復に時間がかかるとか、だから筋トレの強度と頻度は控えめにしましょうって話はウソだったらしいです。

*1. Acute Inflammatory Response to Eccentric Exercise in Young and Master Resistance-trained Athletes
https://www.thieme-connect.com/products/ejournals/abstract/10.1055/a-2348-0238

研究では平均年齢22歳の若者グループ8人と平均年齢52歳のおっさんグループ8人に分けて、それぞれのグループからスクワットの記録が似通った者同士をマッチングしました。
そして、1-rep maxの70%でスクワットを10回行ってもらい、筋肉のダメージ、炎症、そして回復の変化を筋トレ直後から72時間後になるまで追跡しました。

筋トレ後のダメージはどちらのグループも同程度でした。同じような炎症が起き、24時間後からは同じように回復していきました。

22歳でも52歳でも、筋トレしたら筋肉痛になるのは当たり前。同じように筋繊維は破壊されるし、若ければ早く治るわけではないし、トシをとると治りにくくなるわけでもないそうです。

俺もトシだから、もう若いときのようにムチャな筋トレはできないよ。そんなことを口走ったことがある人は反省しないといけないようです。もし以前より回復が遅くなったと感じているとしたら、それは単にトレーニング不足なのかもしれません。自戒を込めて。




2024/11/04

ぶっ倒れるまでの筋トレはパフォーマンス向上には適さない。見た目には良い。ー新研究の紹介

 













ワークアウトの後でジムの床にぶっ倒れたことってありますよね? ベンチプレスでバーベルが胸から挙がらなくなって、助けてくれ~って叫んだことがありますよね?

でもこれって、パフォーマンスを上げる効果はあまりないらしいです。より正確に言えば、挙がらなくなる限界まで筋トレを行う方法はとくに筋力を増加させない、ただし筋肥大効果はあるって結論を述べた研究(*1)が発表されました。

*1. Exploring the Dose–Response Relationship Between Estimated Resistance Training Proximity to Failure, Strength Gain, and Muscle Hypertrophy: A Series of Meta-Regressions
https://link.springer.com/article/10.1007/s40279-024-02069-2


フロリダ・アトランティック大学の研究者を中心とした論文著者グループは筋トレに関する既存の研究を統合分析し、運動中に運動者がどの程度筋肉の限界に近づいたか、またそれが結果にどのような影響を与えたかを調査しました。

その結果、筋力をつける目的に関しては、筋肉が完全に限界に達するまで自分を追い込むか、あと数回の反復回数を残してセットを終えるかは、大きな違いを生まないことが分かりました。しかし、筋肉の成長に関しては、限界に近いトレーニングの方が有利であるようです。

筋トレを行う理由は人によって様々です。ボディビルダーのように身体をデカくしたい人はぶっ倒れるまでやった方がいいようです。スポーツのパフォーマンスを高めたい人は、あと数回はできるなってくらいで留めておいた方が良さそうです。逆のように聞こえるかもしれませんが。




2024/11/02

エキセントリック動作はストレッチより筋肉の張りを減らす ー 新研究の紹介

 













あらためて述べるまでもないことですが、筋トレをすると筋肉が張ります。可動域は狭くなりますし、痛みを伴うこともあります。同じ部位の筋肉に続けて負荷をかけることは避け、筋トレ間に適度に休息日を設けることが望ましいのはそのためです。

休息日にまったく動かないか(完全休養)、あるいは軽い運動やストレッチを行うか(積極的休養)かはその人次第です。

ところが、エキセントリックのみの筋トレ動作にはハムストリングス筋肉の張りを減らす効果があることを、同志社大学の研究者らが発表しました(*1)。


*1. Can Eccentric-only Resistance Training Decrease Passive Muscle Stiffness while Increasing Size and Strength of Hamstrings?
https://journals.lww.com/acsm-msse/abstract/9900/can_eccentric_only_resistance_training_decrease.577.aspx


エキセントリックとは筋肉を伸ばしながら力を発揮する「伸張性筋収縮」のこと。俗に言う「ネガティブ動作」です。バーベルを上に持ち上げるのはコンセントリック、下に下げる部分がエキセントリックです。

この研究で採用されたのはStiff Leg Deadliftと呼ばれる種目です。 膝を少しだけ曲げたままで行うデッドリフトのことですが、研究ではとくにバーベルを下げる動作のみを行いました。

被験者に選ばれた36人の健康な男性たちは、その動作を10回3セット行うセッションを週2回もしくは週3回課せられるグループに分けられました。期間は10週間で、挙上重量は体重の60%,70%,80%と徐々に増やされました。

10週間後、両グループともハムストリングスの筋肉サイズと筋肉は増え(当然ですが)、週3回グループは筋肉の張りが大幅に減少しました。つまり、筋トレをより多く行った方が、筋肉の張りが減ったというわけです。

どうやら筋トレ後の回復方法はストレッチに限らなくてもよいようです。なにか、二日酔いには迎え酒が効くって言われている気がしなくもありませんが。


2024/10/31

あと5㎏がどうしても挙がらない、ときに有効かもしれないイメージ・トレーニングとその方法

 













筋トレの自己記録を突破するのは嬉しいものですが、永遠に成長を続けることはできません。どれだけ頑張っても、見えない壁というか、天井というか、とにかく記録が頭打ちになる時期は必ずやってきます。

そんなときには自己記録の110%を挙げている姿を繰り返し思い浮かべるイメージトレーニングが効くよ、とおススメしている研究(*1)があります。

*1. Positive Visualization and Its Effects on Strength Training 
https://assets.pubpub.org/k9og4slt/31643844339559.pdf


米国ケンタッキー州にある私立大学、トランシルバニア大学の研究者たちは同大の野球、ソフトボール、バスケットボール、サッカー、ラクロスなどのスポーツチームに所属する男女133人に3週間の筋力トレーニング実験に参加してもらいました。

参加者はまず、デッドリフト、ベンチプレス、クリーン、そしてスクワットといった種目の1-rep max(最大挙上重量)を測定され、その後に2つのグループに分けられました。

1つのグループは毎日5分間以上の後述する方法によるイメージトレーニングが課せられ、別のグループにはその指示はありませんでした。

3週間後、イメージトレーニングをしたグループは挙上重量が4.5kg~6.8kg増えたのに対し、それを行わなかったグループは平均2.2kgしか増えなかったということです。

なお、「イメージトレーニング」とは私の訳語で、原文では"Visualization"と表現しています。

具体的には以下の方法です。

  • 最大挙上重量の110%を挙げることに成功した姿を思い浮かべる。例えば、現実にベンチプレスを100㎏挙げられるとしたら、110㎏を挙げていることをイメージするわけです。
  • 毎日最低1回、5分間以上、元気の出る音楽を聴きながらイメージする。
  • 毎日決まった時間に外部からの干渉を受けない環境で行う。
  • 寝転んで、目を瞑ることが望ましい。


人によって上記の条件を満たす時間と場所は様々でしょうが、例えば私なら毎晩9時にはベッドに入りますので、そのときにヘッドセットでロッキーのテーマを聴きながら、今までどうしても挙がらなかった重量のバーベルを持ち挙げている、かっこいい自分の姿を思い浮かべたらよいみたいです。それだけで自己記録を更新できるらしいです。

今夜からでもやってみようかと思いますが、最大の難関はこれを3週間続けなくてはいけない、ということでしょう。継続はやはりチカラみたいです。




2024/10/30

筋トレ前に糖分が含まれた飲料でうがいをするとパワーが増す ー新研究の紹介

 













炭水化物や糖分がダイエットの大敵のように言われるようになってからも、大きなパワーを発揮するためには必要な栄養素であることは筋トレの常識です。

でも、だからと言って、米をどんぶり一杯食べたり、あるいはスポーツドリンクを牛飲する必要はないみたいです。

実際に飲み食いしなくても、糖分が含まれた飲料で「うがい」をするだけで筋肉のパワーが上がる。そんな研究結果(*1)が発表されました。

*1. Carbohydrate Mouth Rinses before Exercise Improve Performance of Romanian Deadlift Exercise: A Randomized Crossover Study
https://www.mdpi.com/2072-6643/16/8/1248


研究では20人の健康な若い男性(平均年齢22歳)を2つのグループに分け、あるグループには糖分6%が含まれた飲み物を、別のグループにはミネラルウォーター(プラセボ)を与えました。それらを使ってうがいをした後に、1セット6回が限界のルーマニアン・デッドリフトを5セット行ってもらいました。その数値を分析したところ、甘い飲料でうがいをしたグループの方に顕著なパワー数値向上が認められたとのことです。

ルーマニアン・デッドリフトはバーを上げるとき(コンセントリック)も下げるとき(エキセントリック)も大きなパワーを求められる種目です。1セット6回を5セットは高重量低回数に分類される、瞬間的なパワーを目指すための設定です。セット間の休息は3分間だったそうです。

パワー増加はコンセントリック局面とエキセントリック局面の両方で認められたとのこと。


僕は甘いものが好きではないので、コーラもスポーツドリンクも飲みません。コーヒーもブラックです。でも飲まなくてもいいなら、口をゆすぐことくらいはできると思います。体重増加を気にする人にも朗報かもしれません。

もっとも、スポーツドリンクにしろ、ミネラルウォーターにしろ、おカネを出して買った飲み物でうがいをすることに心理的な抵抗感はないか、という問題は別にあるような気もします。




2024/10/29

オリンピック選手には喘息患者が多い。ショッキングな研究結果とある難問


 











スポーツは健康に良い。ならばスポーツ選手は一般人より健康的なはず。漠然とそう考える人は多いかもしれません。

ところが、そのスポーツ選手の中でもトップレベルの集団であるオリンピック選手たちは慢性疾患に罹る比率が一般人より高い。そんなショッキングな事実を報告した研究(*1)があります。

*1. Asthma and exercise-induced bronchoconstriction in athletes: Diagnosis, treatment, and anti-doping challenges
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/sms.14358

その慢性疾患とは喘息(ぜんそく、英語: asthma)です。

上の研究によると、オリンピック選手たちの15~30%が喘息を患っているのだそうです。この数字は全スポーツの平均であり、スポーツによってバラつきがあるとのこと。

喘息に苦しむ選手が多いのは耐久系スポーツに分類される、長距離走、トライアスロン、水泳、そして冬季オリンピックではクロスカントリースキーやバイアスロンなどの種目です。

喘息の原因になるのは大気汚染や食習慣だと考えられてきましたが、どうやら長時間の有酸素運動によって引き起こされるケースもあるようです。彼らは筋肉だけでなく、心肺臓器も酷使しているのでしょう。

喘息に罹ると呼吸困難になることや、肺に長期的なダメージを与える可能性もあります。治療せずに放置することは大変に危険なのですが、アスリート、とくにオリンピック選手たちにとっては別の重大な問題があります。

それは喘息の治療に利用できる薬品の多くは、アンチ・ドーピング規則に抵触することです。

その結果、喘息の症状に悩みながらも、有効な治療の手段を取れない選手も多いと、論文著者たちは警鐘を鳴らしています。




2024/10/19

定年退職前後の高重量筋トレはその後の何年も効果が持続する ー新研究の紹介

 













いくら鍛えても、筋肉は使わないとすぐに衰える。世は諸行無常であり、驕れる人も久しからず。だから「貯筋」なんてできない。

それが今までの僕の信念でした。でも、必ずしもそうとは言えないよ、って研究(*1)が発表されました。退職間際の人が「重い」重量で筋トレをすると、脚の筋肉はその後の長期間に渡って丈夫でいられるのだそうです。


*1. Heavy resistance training at retirement age induces 4-year lasting beneficial effects in muscle strength: a long-term follow-up of an RCT.
https://bmjopensem.bmj.com/content/10/2/e001899


デンマーク・コペンハーゲン大学の研究者らは451人の退職間際の男女を以下の3グループに分け、1年間の活動を指定しました。

A) 週3回、高重量の筋トレ

B) 週3回、自重やバンドなどを用いた全身サーキット・トレーニング

C) 日常生活以外に運動の指定なし


なんとなく、高齢者に向いているのはB)のような気がしますが、2~4年後の追跡調査によると、脚の健康をもっとも高レベルで保っていたのはA)でした。

A) グループが行っていた筋トレとは1-rep Max の70~85%を6~12回を1セットとして3セット行うというものでした。実際にやってみると分かりますが、これはけっこう大変です。筋トレにも色々ありますが、パワー系と呼んでもいいセッティングです。

高齢者は怪我のないように、無理のない重量と回数で行いましょう。そんな筋トレ専門家のアドバイスを嘲笑うかのようです。週3回という頻度を1年間継続するというのもなかなかハードルが高いと言えるでしょう。

定年間近にそこまでやると、健康的なリタイア生活を長く楽しめる可能性が高くなるらしいです。試してみる価値はありそうです。

ちなみに、上の研究対象者の調査終了時の平均年齢は71歳、61%は女性だったということです。


2024/10/18

酒を飲むなら、その前に走れ。効果的な二日酔い対策とは日常の運動習慣である。 ー新研究の紹介

 













二日酔いによく効く飲み物や食べ物はよく話のタネになりますね。熱いシャワーを浴びるとか、水をがぶ飲みするとか、アルコールを体から追い出すための方法もよく語られます。

二日酔いにならないベストの方法はもちろん酒を飲まないことですが、それができれば苦労しないし、そもそもそんなことはしたくない。そんな人も多いでしょう。

最近、ある依存症関連の学術ジャーナルに発表された研究(*1)によると、日常的な運動習慣が二日酔いの症状を和らげるカギだということです。


*1.Physical activity as a moderator of the association between alcohol consumption and hangovers
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39216177/#full-view-affiliation-1


ヒューストン大学の心理学者らを中心とした研究チームは1,676人の大学生たちを対象に聞き取り調査をしました。抽出条件は一度でも二日酔いを経験したことがある、そして最低週に30分以上の運動をする習慣があることです。多分、条件に合致する学生を選ぶのは難しくなかったでしょう。

学生たちの飲酒パターン、二日酔いになる頻度と症状、それに運動の量と強度を分析した結果、二日酔いの症状と運動には強い関連があることが分かりました。

当たり前のことですが、飲酒量が多いほど、二日酔いをより頻繁に経験し、またその症状もひどくなります。しかし、ランニングなどの強度の強い運動をする習慣があればあるほど、二日酔いの症状が軽減されることが明らかになりました。

理由は様々に考えられます。

  • 運動はエンドルフィンの分泌を促す。エンドルフィンには痛みを和らげる効果がある。
  • 運動は睡眠の質を向上させる。睡眠は回復を促す。
  • 運動は体内代謝を良くする。それはアルコールの分解にも役立つ。
  • 運動は体内の炎症を抑える。炎症が抑えられると不快感が減る。

そのどれかが正しいのか、あるいはすべて正しいのかは私には分かりません。

しかし、この論文を素直に読めば、以下の結論を導くことができます。

スポーツマンでも酒を飲みすぎたら二日酔いにはなる。しかし、運動しない人に比べるとその症状は軽くなる

少なくとも私にとっては、きわめて都合の良い結論です。




2024/10/16

休まず歩き続けるより、ちょこちょこ立ち止まった方が痩せる ー 新研究の紹介

 













ウォーキングは痩せる。長時間の有酸素運動は脂肪を燃焼するのに最適だから。

きっと本当です。でもありがちな誤解があるよと、そんな耳寄りな情報を、英国の王立学会出版(Royal Society Publishing)に掲載された論文(*1)が知らせてくれています。

*1. Move less, spend more: the metabolic demands of short walking bouts
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2024.1220


同じ距離を歩くなら、休みを挟まずに歩き続けるより、何回も立ち止まる方が、身体はエネルギーを多く消費する。つまり効率的に痩せるってことです。

トレッドミルとステアマスターを使った実験では、止まった状態から歩き始めた段階のエネルギー消費量は、歩き始めてからしばらく経った段階でのそれより、20-60%程度の範囲で多くなったそうです。

逆に言えば、歩き続けることで人は体内エネルギーを効率的に消費するようになるというわけで、そしてそれはある意味では望ましい成果ではあるのですが、痩せるという目的には合わないようです。

クルマに置き換えるとよく分かります。高速道路をスイスイ走るときより、混雑した街中でストップ&ゴーを繰り返すときの方が燃費は悪くなります。クルマがたくさんガソリンを燃焼するように、人は体内のエネルギー源、その多くは脂肪をより多く燃焼するのです。

痩せるためにトレッドミルを歩いたり走ったりするよりも、そのジムに歩いて行く方がずっと効率が良いってことですね。

信号待ちがない公園を探してウォーキングするより、通勤や通学で街中を歩く方がずっと痩せるってことでもあります。

ブルース・リーは半世紀も前にこんな言葉を残しています。つくづく偉大な人でしたね。

「なるべく歩くようにしなさい。たとえば、目的地から数ブロック離れた場所に駐車するように。エレベーターを使わずに、階段を上りなさい」





2024/10/08

筋トレの前にSNSをチェックするとパフォーマンスが落ちる ー 新研究の紹介

 













スマホの持ち込みを禁止するジムがあります。目の前でスマホをいじられると、ラックやマシーンの順番待ちをしている人は確実に苛立ちますので、メンバー間のトラブルを回避するためではないかと思われます。

やってる本人にしても、セット間にスマホを気にしているようでは、いかにも集中力が削がれそうな気がします。

それだけではなく、スマホで見るモノについても注意が必要なようです。SNSのように反応があるコミュニケーションツールは、ドキュメンタリー動画のような受信型より、筋トレのパフォーマンスにより大きな悪影響を与えるとした研究(*1)が発表されました。


*1. Mental Fatigue From Smartphone Use Reduces Volume-Load in Resistance Training: A Randomized, Single-Blinded Cross-Over Study.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34000894/


実験:

被験者たちを2グループに分け、あるグループは筋トレの前にドキュメンタリー動画を視聴、別のグループは同じ時間だけSNSを見るように指示された。

両グループとも15RMの80%でスクワットを限界まで行うエクササイズを3セット行った。セット間の休息は3分間。

結果:

SNSグループは平均して15%ほど挙上回数が減り、また精神的な疲労度が高くなった。運動の強度やモチベーション、さらには血中乳酸濃度といった要素にはグループ間で大差はなかった。


研究者たちは上の結果を踏まえて、パフォーマンスの差異は身体的なものではなく、心理的要因によるものだと結論で述べています。


なかにはSNSで筋トレのモチベーションを上げる人もいるかもしれませんが、筋トレの30分くらい前にはスマホを閉じる方がより賢明なようです。

2024/10/02

デッドリフト500㎏!ストロングマン・コンテスト王者の身体は一般人とどう異なるか、の研究

 










ストロングマン・コンテストという競技を知っていますか?

巨大なタイヤをひっくり返したり、トラックを引っ張ったり、ドラム缶を投げたりする力比べです。巨大な人たちが集まって、信じられないようなパワーを披露してくれます。


参照記事:人間の極限パワーに挑む「ストロングマン・コンテスト」


そのストロングマン・コンテスト世界大会で優勝歴があり、デッドリフト世界記録(500㎏!)も樹立したことがあるエディ・ホール選手の肉体が一般人とどのように異なるかを解剖学的に調べた研究(*1)が発表されました。

*1. Muscle and tendon morphology of a world strongman and deadlift champion


そんなの筋肉量がめちゃくちゃ多いに決まってるでしょ、と思うかもしれません。まさにその通りで、ホール選手の全身筋肉量は一般人の2倍以上あるということです。そこら辺は、わざわざ調べなくても、見たら分かりますよね。

しかし、それだけではありません。その筋肉がどこについているか、どの種類の筋肉が多いか、靱帯や腱との比率は、と掘り下げて分析していくと、興味深い事実が浮き彫りになりました。
  • ホール選手の下半身を安定させる小さな筋肉群(スタビライザー)は一般人の2.5倍から3倍くらいある。大きな筋肉を鍛えるだけでは、重いモノを持ち上げて、それを保持することはできない。
  • ール選手の大腿四頭筋は一般人の2倍あるのに対し、この筋肉につながる腱は30%しか大きくない。これは筋肉の成長が腱の成長を上回っていることを示唆しており、腱損傷のリスクが高まる可能性がある。

尋常ではないパワーは巨大な筋肉によって発揮されますが、外目に見えない部分も大切なようです。ただし、筋肉は鍛えられても、それを支える腱を鍛えることは難しいようです。

よく筋トレは故障予防のためにも提唱されますが、筋力を鍛えることは必ずしも故障リスクを減らすとは限りません。かつてプロゴルファーのジョン・デーリー選手がこんな発言をしました。

「筋肉は攣ることがあるけど、脂肪は攣らないよ」

2024/09/29

フィットネス系インフルエンサーのファンは運動習慣が多い、でも不安感も大きくなる。新研究の紹介

 













フィットネス系インフルエンサーをフォローする人たちは運動量が多くなる。しかし、メンタルヘルスに問題を抱えやすくなる。そんな研究結果(*1)がサイバー心理学ジャーナルに発表されました。

*1. Healthier but not happier? The lifestyle habits of health influencer followers
https://cyberpsychology.eu/article/view/21597


研究によると、フィットネス系インフルエンサーをフォローする人たちはそうでない人たちと比較して、まず「激しい運動」を行う率が高くなります。さらに野菜や果物の摂取量も多くなるそうです。ここまでは良い側面です。

しかし、メンタルヘルスに目を向けると、フォロワーたちは摂食障害やうつなどの問題を抱える確率がより高くなるのだそうです。

健康的なライフスタイルとやり過ぎの弊害は紙一重なのでしょうね。

運動にしても、栄養にしても、インターネットからの情報はほどほどに見ておけばよいのでしょうが、若い人は感受性が高いので、どうしても影響が大きくなってしまうのかもしれません。

研究対象となったのは、アメリカ、イギリス、そしてニュージーランドの英語圏3か国に住む、年齢18歳から35歳までの若い世代1,022人だそうです。従って、日本の若者や非若者とは事情が異なるかもしれません。でもきっと、共通点はあるのじゃないかと個人的には感じます。



2024/09/28

マッスルメモリーってホントにあるの? 新研究の紹介

 













マッスルメモリーって言葉があります。筋肉を鍛えると、長期間休んでも筋肉の細胞や神経系が過去の状態を「記憶」していて、再開後は以前のレベルに戻りやすくなるという話です。

つまり、筋トレは休む時期があっても構わないってことで、色々な事情でジム通いが続けられない人にとっては都合の良い理論です。

そのマッスルメモリーって現象は実在するのか?について調べた研究(*1)が発表されました。

*1. Muscle memory in humans: evidence for myonuclear permanence and long-term transcriptional regulation after strength training.
https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1113/JP285675?ck_subscriber_id=2049311529


研究の概要は以下の通りです。

方法:

  • 被験者は12人の筋トレ未経験者
  • 最初のトレーニング期間:片腕だけのダンベル・アームカールを10週間
  • 休息期間:16週間
  • 再トレーニング期間:両腕のダンベル・アームカールを10週間

結果:

最初のトレーニング期間で鍛えた腕の筋肉サイズは増えた(当たり前ですね)。休息期間を終わると、筋肉サイズは元に戻った(これも当たり前)。しかし、再トレーニング期間を経ると、過去に鍛えた腕は筋肉サイズがすぐに以前のレベルに戻り、最終的な向上率も別の腕より高かった。


筋トレを休んで、筋肉が萎んじゃったなーってお嘆きの人も、実は努力の結果はなくなってしまったわけではなく、ただ隠れているだけのようです。

「トレーニングを休んだら、取り戻すまでにその倍の時間がかかるんだ」なんて熱く語ってきた指導者には気の毒なのですが、どうやらそれは大ウソだったらしいのです。筋トレに関しては、って話ですけど。技術面やメンタル面はまた違うかもしれません。

何はともあれ、長いことバーベルもダンベルも挙げてないやって人は、もういちど筋トレを再開してみてはいかがでしょうか。




2024/09/26

筋トレするとボケない ー ハーバード医学大学も注目の研究

 













筋トレは脳にも良い影響を与える。物忘れが多くなったり、判断力が弱ってきた人は、筋トレをすると、脳の機能が向上する。

私が言っても説得力はないでしょうけど、そんな研究結果を報告した学術論文は実に多いのです。

そのうちのひとつ、オーストラリアの研究者たちによる下の研究(*1)は、かのハーバード医学大学のニュースレターにも紹介されました。念のためにお断りしておくと、私はその著者グループには参加していません。

*1. Mediation of Cognitive Function Improvements by Strength Gains After Resistance Training in Older Adults with Mild Cognitive Impairment: Outcomes of the Study of Mental and Resistance Training.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28304092/#full-view-affiliation-1


研究の被験者は軽度の認知障害を持つ 55 歳から 86 歳の女性 68 人と男性 32 人。ランダムに 2つのグループに分けられ、1 つのグループは 6 か月間、週 2 回、最大重量の 80% くらいの筋トレを行いました。もう 1つのグループは同期間ストレッチだけを行いました。

被験者たちは、研究の開始時と終了時、および研究終了から 12 か月後に認知テストを受けました。すると、筋トレグループは、研究終了時に開始時よりも大幅に高いスコアを獲得し、12 か月後もそのスコアを維持しました。ストレッチだけグループのスコアは若干低下しました。

さらに興味深いことは、筋力向上率と認知テストのスコア向上率は比例したとのこと。
つまり、筋トレをやればやるほど、アタマはすっきりするらしいのです。

重ねて念を押しますが、これは私の個人的経験ではありません。

きっと例外もあるはずです。いくら筋トレをやっても、物忘れがますますひどくなる人もいるでしょう。それも私ではありません。









2024/09/23

就職するなら社長が筋トレをしている会社を選べ。Deadlift ETF

 













メタ (旧フェイスブック)の創業者兼CEOマーク・ザッカーバーグ氏は運動オタクで、柔術の大会に出場したりもします。

X(旧ツイッター)、テスラ、OpenAI、スペースX、など多くの企業を経営するイーロン・マスクは仕事人間で知られていますが、同時に筋トレや格闘技が大好きだそうです。ザッカーバーグ氏とMMAで戦う、なんて噂が流れたこともありました。

他にも、ティム・クック(アップル)、リチャード・ブランソン(ヴァージン・グループ)など、筋トレに熱心な経営者は枚挙の暇がありません。

筋トレや格闘技に取り組む経営者の企業は業績が伸びる。そんな調査結果が発表されました。





訳文: 
私が作ったDeadlift ETFは経営責任者が筋トレか格闘技をする(有酸素運動だけではない)企業だけを選びました。
そうした企業は過去4年間の株価上昇率がS&P 500を140%(2.4倍)上回っていました!


健康のために散歩を心がけています、なんて経営者は日経新聞の「私の履歴書」にも出てくるかもしれませんが、朝5時からデッドリフトで大汗かいたぜ、なんて経営者もそろそろ日本にも出てきそうなものですが。