2025/01/17

筋トレをするとモテるのは男だけではなかった ー 新研究の紹介

 













筋トレをするとモテるか? という話題は個人的な自慢かあるいは自虐に陥りがちです。あなたがモテるのは筋肉のおかげかもしれませんし、別の要因(顔立ち、ユーモアのセンス、おカネ、などなど)が大きいせいかもしれません。逆も然りです。

それでは、データの範囲を広げて、筋トレをする人はモテる全体的な傾向があるか否か? についてワシントン州立大学の研究者たちが調べた論文(*1)が発表されました。

*1. Strength, mating success, and immune and nutritional costs in a population sample of US women and men: A registered report
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1090513824001235?via%3Dihub


他にもっと研究するべきことはあるんじゃない? とは思いますが、研究者たちは真剣なようです。論文が掲載された学術誌のタイトルは「人類の進化と行動学ジャーナル」(Evolution and Human Behavior)。人類学の研究であって、ジムやサプリメント会社の宣伝ではありません。


研究方法は以下の通りです。

  • 2013~2014年にかけて、米国に在住する4,316人のデータを解析
  • 筋力の強さは握力で評価
  • モテるかどうかは一生で獲得するセックス・パートナーの数で評価

結果として以下の事実が判明しました。

筋力が強い男性と女性はどちらもセックス・パートナーの数が多くなる。

一般的に、筋肉質の男性はそうでない同性よりもモテるようなイメージはありますし、だからこそ若い男の子たちは筋トレに励むわけですが、実は女性にもそのセオリーは通用するらしいのです。筋トレをする女性は(も)、モテるのです。

何しろ人類学の研究ですので、論文著者たちは上の理由を進化論に求めようとします。従来の「男性は狩猟をするので、女性は力の強い男性を好む」だけではなく、「女性は子育てをするので、男性も子どもを何人も抱っこできる女性を好む」かもしれないのだそうです。

まあ分からなくはありませんが、ちょっとその論旨展開は無理があるのではないだろうかと個人的には思います。筋トレをするー>活動的になるー>出会いが増える という図式の方が現代事情にマッチしているのではないか。浅学菲才な私はそう愚考します。

誤解のないように書いておきますが、私が何十年も筋トレを続けているのはモテたいからではありません。肉体的な苦痛を乗り越えることによって、魂を磨いているのです。


モテたいためのロックンローラー
あなた動機が不純なんだわ

山口百恵『ロックンロール・ウィドウ』より








2025/01/14

クロスフィット・ゲームズの開催地がニューヨーク州オールバニ ー市へ変更






クロスフィット・ゲームズは2024年度から会場をダラス・フォートワースに移して行われましたが、その初日の第1イベントで大会史上初の死亡事故が発生するという最悪の幕開けとなりました。

この縁起の悪い土地を1年でオサラバして、2025年からはニューヨーク州オールバニ ー市(Albany)に開催地を移すとゲームズ公式ウェブサイトが発表しました。

https://games.crossfit.com/video/crossfit-games-head-albany-ny-2025




オールバニ ー市はニューヨーク州都です。ニューヨーク市から北へ240kmほど離れた、人口10万人くらいの小さな街です。

私はドライブの途中に立ち寄ったことがあります。長い歴史をもつ由緒ある街だということですが、無学な私の目には「くすんだ土地だな」が正直な感想でした。

会場となるMVPアリーナは屋内施設で、映像で見る限りは都心部にあるみたいなので、いよいよ本格的に自然の中でのワークアウトはクロスフィット・ゲームズからはなくなるのでしょうね。

まあ、アメリカ以外の国から訪れることを考えると、ニューヨーク市から数時間という立地条件は便利といえば便利なのですけど。なにしろ、ウィスコンシン州マディソンは遠かった。

ご参考までに、クロスフィット・ゲームズ19年に渡る開催地の変遷は以下の通りです。

2007-2009: Aromas, CA
2010-2016: Carson, CA
2017-2023: Madison, WI
2024: Ft. Worth, TX
2025: Albany, NY

2025/01/07

クロスフィット・ゲームズのマスター部門で優勝4回のレジェンドが癌で死去

 








ウィル・パウウェル(Will Powell)さんが亡くなったことを、いくつかのクロスフィット関連のウェブサイトが報じています。

パウウェルさんはクロスフィット・ゲームズの50-54歳部門で1回、55-59歳部門で2回、そして60-64歳部門で1回、計4回の優勝歴を持つ、マスター部門のレジェンドでした。

パウウェルさん が真に偉大であったのは、癌と戦いながらその輝かしい戦績を挙げていたことです。

2014-2016年と3連覇を果たした後、2017年にパウウェルさんは癌と診断されました。肺から腫瘍を摘出する手術を受けながらも競技を続け、同年には12位、翌2018年には3位に入賞。2021年には4度目の優勝を果たしましたが、癌が再発し、腫瘍を再摘出する手術を受けました。

そしてさらに2023年には3度目となる手術を余儀なくされましたが、それでもパウウェルさんはクロスフィット・ゲームズに挑み続けました。翌2024年のオープンに参加し、60-64歳部門のランキング1266位で、準決勝ラウンドには進めませんでした。

ウィル・パウウェルさんのプロフィール:https://games.crossfit.com/athlete/59899

今年からは65歳以上部門に参加資格があったはずで、きっとパウウェルさんは命があったなら、5度目の表彰台を目指していたでしょう。まさにWill (意志)の名に相応しいアスリートでした。


パウウェルさんは2017年に少し変わった形でニュースになりました。その年のクロスフィット・ゲームズも、昨年死亡事故が発生した湖での水泳が最初の種目に含まれていました。水泳があまり得意でなかったパウウェルさんは溺れてしまい、競技中だった別のマスター部門アスリート、ロバート・カスリン(Robert Caslin)さんによって救助されたのです。

https://games.crossfit.com/article/masters-60-athlete-saves-drowning-competitor


苦手な水泳に挑戦したパウウェルさんも、自分の競技を諦めてでも救助を優先させたカスリンさんも、マスター部門には尊敬するしかないアスリートたちがいます。もっと注目されてもいいですよね。






2024/12/19

クロスフィット・ゲームズ安全対策委員会メンバーにあのレジェンドが参加

 








Luka Đukićさんの死亡事故をうけて、クロスフィット本部が公約していた安全対策委員会のメンバーが発表されました。

https://www.crossfit.com/crossfit-safety-board


8人のうち、医学博士が3人、アスレチックトレーナーが1人。ここまでは分かります。

残り4人はなかなか興味深い人選です。

  • ゲームズのスポンサー、フィットネス器具メーカー『Rogue』の重役
  • 国境パトロールの訓練教官
  • 米国マスター・ウェイトリフティング協会代表
そして、最後の1人が、あのリッチ・フローニングです。

クロスフィット・ゲームズがもっとも盛り上がっていた2010年代前半に4連覇を成し遂げた生きる伝説です。

日本プロ野球で言えば長嶋茂雄さんを連れてくるようなもので、これにはだれも文句をつけられないでしょう。

下は私が一番好きなクロスフィットの動画です。あの頃、リッチ・フローニングは我々にとって唯一無比のヒーローでした。意味もなく、ヘッドバンドしてワークアウトする連中、いましたね。








2024/12/17

歩数が多いほど、うつ病のリスクは小さくなる - 最新メタ分析研究

 













1日1万歩を歩くと健康に良いよって話をよく見聞きしますけど、それは身体的な健康だけではなく、メンタルヘルスにも関連があるらしいです。

つい最近、医学ジャーナル『JAMA Network Open』に掲載された研究(*1)によりますと、毎日よく歩く人はうつ病の発症リスクが減るのだそうです。

*1. Daily Step Count and Depression in Adults - A Systematic Review and Meta-Analysis

13 か国、 96,173 人の成人のデータを分析した結果、歩数とうつ病の発症リスクには強い関連性が認められました、1 日あたりの歩数が 1,000 歩増えるごとにうつ病の発症リスクが 9% 低下するということです。7,000歩以上歩く人の同発症リスクはそれより歩数が少ない人より31%も低くなることも分かっています。

とは言っても、1万歩も歩く必要はなく、7,000~8,000歩程度で十分らしいです。

駅前のタワーマンションに住む人より、駅まで徒歩20分のアパートに住む人の方が、メンタルヘルスを保つには条件が良いってことですね。

よく他でも引用していますが、ブルース・リーが次のように言っています。約半世紀も前にです。つくづく、偉大な人でしたね。

「なるべく歩くようにしなさい。たとえば、目的地から数ブロック離れた場所に駐車するように。エレベーターを使わずに、階段を上りなさい」





2024/12/15

健康診断はBMIよりVO2Maxを重視するべき ー 最新メタ分析研究の提言










BMI (Body mass index)とは体重と身長の関係を示す指標ですが、その数値はあてにならないとする批判は以前からあります。

よく言われるのが、筋肉質の人はBMIが高めに算出されがちだってことです。筋肉は脂肪より重いからという理由ですが、たしかにそれはあると思います。ちなみに私もBMI判定ではよく「やや肥満」とされます。

それに、痩せているか太っているかが必ずしも健康寿命を占うとは限りません。太っていても長生きする人はいますし、痩せていても短命な人もいます。

それでも健康診断では体重を測定して、その数値を云々されることが多いのですが、それよりもっと重要なのは心肺の健康度ではないか。最近発表された研究(*1)がそんな提言をしています。

*1. Cardiorespiratory fitness, body mass index and mortality: a systematic review and meta-analysis
https://bjsm.bmj.com/content/early/2024/11/07/bjsports-2024-108748


20個の論文、合計で約40万人のデータを分析した結果、心肺機能レベルが高ければ高いほどあらゆる原因による死亡率と疾病リスクが低くなることが分かりました。そのことにはBMIの大小は影響しないとのことです。

速い話、BMIよりもVO2Max(最大酸素摂取量)の方が健康度の測定に適しているということです。

VO2Maxは本来なら専門の施設でないと計測できないものですが、最近のスマートウォッチのほとんどが推定値を表示してくれます。利用しない手はないだろう、と私は思います。

関連記事:VO2Max(最大酸素摂取量)とは何かを有識者が解説!スマートウォッチで計測可能

ちなみに、Garminによると、私のVO2Maxは48。年代性別カテゴリーではトップ10%内、フィットネス年齢では20歳とのことです。けっして、これを自慢したかったわけではありません。








2024/12/09

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はじめに

 
クロスフィットなるものを私が初めて知ったのはフェイスブックがきっかけでした。 友人が紹介していたユーチューブの動画。そこでは2011年度クロスフィットゲームズが繰り広げられていました。
 筋肉隆々の選手たちがバーベルを使ってウェイトリフティングをしていたと思ったら、30メートルぐらいの雲梯をやっていたり、壁に逆立ちして腕立て伏せをやったと思ったら、何やら重そうなソリを押して走っていたりしていました。
 一体これは何なのか? 競技なのか、トレーニングなのか、それとも一種のデモンストレーションなのか。それすらわかりませんでしたが、何やら熱くなるものを自分自身の内部に感じ、これをやってみたいと強く思いました。
 インターネットのおかげで最初の疑問はすぐに氷解しました。便利な世の中です。
 クロスフィットとはアメリカ発の1990年代から始まった比較的新しいトレーニングメソッドで、ウェイトリフティング、ランニング、鉄棒、ケトルベル、縄のぼり、メデシンボール、自重トレーニングなど多種多様な動きを組み合わせることにより、より実用的な効果を目指すものです。
スタミナ、パワー、柔軟性、スピード、巧緻性、バランス、反応力、などなど広範囲の運動能力を偏ることなしに高めることを目的にし、短時間に集中してトレーニングすること、毎回異なったメニューを組むことに特徴があります。
 私がユーチューブで見たのはそのクロスフィットの最高峰に位置する世界大会の動画でした。地球上で最もフィットな人間を選ぶ、がそのスローガンでした。
 幸運なことに、私が住む南カリフォルニアはクロスフィットの本場とも言える土地で、クロスフィットのジムは自宅近所に何箇所もありました。早速、そのうちの一つのジムに通い始め、私のクロスフィットにはまる日々が始まったのです。
 クロスフィットは私が期待した通り、いや予想を超えて楽しく刺激的でした。そして段々わかってきたのは、クロスフィットは競技と呼ぶより(その側面も勿論ありますが)、フツーの人が日常生活の中で刺激を感じ、健康になり、そして人生を楽しむことに役に立つものだということです。偶然とは言え、このような素晴らしいスポーツに巡り合えたのは本当に幸運なことだったと思っています。
 2016年現在のところ、クロスフィットは世界中でますます発展してますが、残念ながら日本では殆ど知られていません。グーグルでCrossFitと検索すると英語のサイトが山ほどヒットしますが、日本語の「クロスフィット」で検索するとほんの少しです。なにしろ、世界中に1万箇所を超えると言われているクロスフィット公認ジムが日本ではせいぜい10箇所ぐらいしかありません。
 この本を通じて、一人でも多くの方にクロスフィットなるものに興味を持ってくれることが私の望みです。それでは、南カリフォルニア在住1クロスフィット愛好家の私的クロスフィット体験記をどうぞお楽しみください。クロスフィットの入門書でも指南書でもましてや啓蒙本でもありません。冗談度70%、真剣度30%、だけど挙げる数字や情報にウソのない紹介本です。