クロスフィット・ゲームズは2024年度から会場をダラス・フォートワースに移して行われましたが、その初日の第1イベントで大会史上初の死亡事故が発生するという最悪の幕開けとなりました。
ちょうどパリ・オリンピックと開催時期が重なっていたため、アメリカでもあまり大きくは報道されませんでした。日本もきっとそうだったと思います。
それでもAP通信やCNNなどで記事になっています。
https://apnews.com/article/crossfit-competition-death-texas-lake-74b2aaac5962ce35dc40a3838a9a4076
こうした報道から、現時点で分かっていることを報告します。今後新たな情報が入り次第、更新します。
事実
- 事故が発生したワークアウトは『Lake Day』。屋外で行われ、3.5マイル(5.6km)走った後で、湖を800m泳ぐものだった。
- 死亡したアスリートはセルビア人のLazar Dukic、28歳。
- Dukicが溺れたのはゴール直前。それまでトップグループにいた。
- Dukicが水中から浮かんでこないことにチームが気づき、消防隊と警察の捜索が行われた。
- Dukicは元水球の選手で、水泳は得意だった。
- ゴール付近にはパドルボートに乗ったライフセイバーが数人配置されていたが、彼らがボードを降りて水中に入ることはなかった。
その後の経過
- 初日の競技はそのまま中止となった。
- 2日目以降の競技は再開した。
- 前年度男女チャンピオンなど、競技を棄権したアスリートは10人を越えた
- 最終競技まで予定通り行われた。
- クロスフィットCEOは動画で声明を発表し、警察や救急隊の調査に全面的に協力し、その結果を踏まえて今後の対応を決めると述べた。
- クロスフィットの名を冠したイベントで、オープンウォーターやプールにかかわらず、一切の水泳を種目にすることを禁止する。解除される期限は未定。そんな内部通達が本部から出された (8月16日追加)
- Brent Fikowskiがリーダーを務め、クロスフィットのトップ選手たちが集まったグループ、Professional Fitness Athletes’ Association (PFAA)が声明を発表。以下の3つを要求。(8月21日追加)
1)死亡事故に関する第三者機関の調査2)安全対策委員会の設置3)Dave Castroの追放
個人的見解
クロスフィットの安全対策が十分であったかどうかは、今後の調査によって明らかになると思います。誰が悪かったか、という犯人捜しはその後でもよいと思います。
ただ、競技の内容については個人的に思うことがあります。
約5㎞のランと約1㎞の水泳という組み合わせは何回か経験があるからです。
Aquathlon(アクアスロン)と言って、トライアスロンから自転車を除いたレースのことです。
僕が何回か出場したレースは、約1㎞を海で泳ぎ、その後で周囲や砂浜を5㎞走るというものでした。つまり、今回の事故が起きた競技と同じ内容、ただし、ランと水泳の順番が逆でした。
5㎞のランと1㎞の水泳を続けてやると、もちろん体力的にきついことは言うまでもありません。他人と順位を争うレースなら尚更です。
体力の限界に近づいたときに、水中を泳いでいるか、あるいは陸上を走っているか、致命的な事故が起こりやすいとすればどちらでしょうか。
トライアスロンでも、アクアスロンでも、水泳のパートが一番先に行われることには意味があるのかもしれません。