2025/03/12

クロスフィットが身売りか? 買い手を探しているとの報道

 













クロスフィット本部が組織を売却する方向で、買い手を探している。

そんなメールがクロスフィットCEOドン・フォール氏からボックスのオーナーたちに向けて発信されたと、BarBend やMorning Chalk Upといったフィットネス業界ウェブサイトが報じています。

組織としてのクロスフィットは経営権が他へ移ることは初めてではありません。

元々、グラスマンのおっさんが創始者兼オーナーだったわけですが、コロナ禍の最中だった2020年にBerkshire Partnersという投資会社に買収されています。

その頃もいろいろなゴタゴタがありましたし、現在はそれに輪をかけて不透明な状況です。

「(売却は)長いプロセスになる。完了するまで詳細は公開できない。とりあえず、組織の運営は現状通り進める」とフォール氏はメールに書いているそうです。

ならば、黙っていればよさそうなものですが、どこかから噂が流れてきたため、なにかしら発表する必要が生じたようです。


2025/02/18

CompTrainがクロスフィットではなくなった! 主宰者Ben Bergeronが離脱を表明。









クロスフィットを競技として取り組んでいた人なら、 CompTrainのお世話になったか、少なくとも覗いてみたことはあるはず。

クロスフィット本部のウェブサイトは見なくても、CompTrainはフォローしていた人は多いでしょう。僕もそのひとりです。毎週送ってくる競技者用のプログラムをひ~ひ~言いながら挑んでいた時期があります。

主宰者のBen Bergeron氏がクロスフィットからの離脱を表明しました。

https://barbend.com/crossfit-new-england-de-affiliating/

"CrossFit New England" は "CompTrain New England"に名称を変更するとのこと。2025年2月18日時点で、ボックス(もうジムと呼ぶべきでしょうか)の公式ウェブサイトはURL(https://www.crossfitnewengland.com/ )は以前のままですが、タイトルは新しい名前に代わっています。

Bergeron氏は「クロスフィットの組織に属することは、今ではサポートよりも弊害の方が大きい」と述べています。

今年のオープンは有力選手の多くが不参加を表明していますし、ある時代の終わりをひしひしと感じます。

僕自身は、クロスフィットの方法論は素晴らしいと今でも思うのですが、組織としてはガタガタになってしまいました。とても残念です。

2025/02/13

クロスフィットがトランスジェンダーに関するポリシーを(こっそり)変更。トランプに同調か?


クロスフィット・オープンが近づくなか、個人的にはとても残念なニュースが関連メディアで報じられています。

クロスフィット本部が毎年改訂するルールブックの2025年版に、「競技者は出生時の性でエントリーしなくてはならない」という一文が追加されました。事実上、トランスジェンダーを競技から排除するということになります。

セクション9.01にはこうあります。

 「すべてのアスリートはクロスフィット・ゲームズのイベントに参加することを歓迎される。しかし、競技の公平性と一貫性を維持するため、アスリートは出生時に割り当てられた性の部門にエントリーしなくてはならない」(角谷訳)

太字の部分は原文でも同じように強調されています。

このルールでは現在の自認する性が出生時のそれと異なる人だけではなく、性転換手術を受けた人も出生時の性部門で競技することを求めています。

これまでクロスフィットはトランスジェンダーの競技参加を認めてきました。2019年版のルールブック(セクション6.01)にはこうあります。

クロスフィット は、スポーツ競技の一貫性を維持しながら、すべてのアスリートが公平な方法で、イベントに平等にアクセスし、参加する機会を確保することに尽力する

「アスリートは出生時の性にかかわらず、日常生活で用いている性部門にエントリーすることを求めらる」(角谷訳)

その是非はともかく、今回の新ルールはかつての方針を180度転換するものです。しかし、クロスフィット本部はその理由を説明していません。

すでにいくつかのボックスがこのことを理由にクロスフィット・オープンのボイコットや組織からの脱退を表明しています。

クロスフィットのルール改訂はトランプ大統領がトランスジェンダー選手の女子競技参加を禁止する大統領令に署名するより前に発表されていました。クロスフィットがトランプの尻馬に乗ったという言い方は公平ではないかもしれません。

それでも、組織としての信念よりも多数派にすり寄っているという印象は拭えません。残念だな、と私が思うのはそのためです。








2025/01/24

ハーフでもフルでもスクワットの筋肥大効果は変わらない ー 新研究の紹介

 











スクワットをするときはしっかりしゃがんで、お尻を膝と平行か、それより低い位置に落とすことを教わってきました。いわゆる「フル・スクワット」です。一方で膝を直角以下にしか曲げないで行う動作は「ハーフ・スクワット」と呼ばれます。

クロスフィットではフル・スクワットでないと「ノーレップ」として、回数にカウントさせません。

スクワットに限らず、あらゆる筋トレ種目で、可動域いっぱいで動作することが一般的には正しいフォームだとされます。そして、「正しいフォームで行わないと効果が出ませんよ」とはインストラクターの常套句です。

ところが、大腿四頭筋をデカくする、という目的に関しては、フル・スクワットでもハーフ・スクワットでもその効果にあまり大きな違いはないとする研究(*1)が発表されました。

*1. Knee flexion range of motion does not influence muscle hypertrophy of the quadriceps femoris during leg press training in resistance-trained individualsFor correspondence:
https://sportrxiv.org/index.php/server/preprint/view/502/1079


実験はスクワットではなく、レッグプレスのマシーンを使って行われました。









"Leg-press-2-1024x670" by Everkinetic is licensed under CC BY-SA 3.0.


方法は以下の通りです。

  • 被験者は23人の筋トレ経験者
  • レッグプレスは片足ずつ行う。
  • 片足は可動域を100度以下、別の足は可動域いっぱい(154度)
  • 週2回のワークアウト(1セット8~12回を限界まで)を8週間
結果はどちらの足も大腿四頭筋の筋肉量は2.2% ~ 7.3% の増加が認められました。そしてその増加率は両方の足に有意の差は生じませんでした。

つまり、レッグプレスは可動域いっぱいに動作してもしなくても、筋肥大効果に大した違いはないということになります。

この結果から、スクワットはフルじゃなくてもいいよ、と言い切ってしまうのは早計です。レッグプレスとスクワットは厳密には違う動作ですし、どちらも大腿四頭筋だけをターゲットにしているわけでもないからです。

少なくとも、ハーフ・スクワットはフル・スクワットに劣ると考えなくてもよいみたいです。ハーフ・スクワットはより重い重量を扱うこともできますし、腱や関節への負担も少ないかもしれません。








2025/01/17

筋トレをするとモテるのは男だけではなかった ー 新研究の紹介

 













筋トレをするとモテるか? という話題は個人的な自慢かあるいは自虐に陥りがちです。あなたがモテるのは筋肉のおかげかもしれませんし、別の要因(顔立ち、ユーモアのセンス、おカネ、などなど)が大きいせいかもしれません。逆も然りです。

それでは、データの範囲を広げて、筋トレをする人はモテる全体的な傾向があるか否か? についてワシントン州立大学の研究者たちが調べた論文(*1)が発表されました。

*1. Strength, mating success, and immune and nutritional costs in a population sample of US women and men: A registered report
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1090513824001235?via%3Dihub


他にもっと研究するべきことはあるんじゃない? とは思いますが、研究者たちは真剣なようです。論文が掲載された学術誌のタイトルは「人類の進化と行動学ジャーナル」(Evolution and Human Behavior)。人類学の研究であって、ジムやサプリメント会社の宣伝ではありません。


研究方法は以下の通りです。

  • 2013~2014年にかけて、米国に在住する4,316人のデータを解析
  • 筋力の強さは握力で評価
  • モテるかどうかは一生で獲得するセックス・パートナーの数で評価

結果として以下の事実が判明しました。

筋力が強い男性と女性はどちらもセックス・パートナーの数が多くなる。

一般的に、筋肉質の男性はそうでない同性よりもモテるようなイメージはありますし、だからこそ若い男の子たちは筋トレに励むわけですが、実は女性にもそのセオリーは通用するらしいのです。筋トレをする女性は(も)、モテるのです。

何しろ人類学の研究ですので、論文著者たちは上の理由を進化論に求めようとします。従来の「男性は狩猟をするので、女性は力の強い男性を好む」だけではなく、「女性は子育てをするので、男性も子どもを何人も抱っこできる女性を好む」かもしれないのだそうです。

まあ分からなくはありませんが、ちょっとその論旨展開は無理があるのではないだろうかと個人的には思います。筋トレをするー>活動的になるー>出会いが増える という図式の方が現代事情にマッチしているのではないか。浅学菲才な私はそう愚考します。

誤解のないように書いておきますが、私が何十年も筋トレを続けているのはモテたいからではありません。肉体的な苦痛を乗り越えることによって、魂を磨いているのです。


モテたいためのロックンローラー
あなた動機が不純なんだわ

山口百恵『ロックンロール・ウィドウ』より








2025/01/14

クロスフィット・ゲームズの開催地がニューヨーク州オールバニ ー市へ変更






クロスフィット・ゲームズは2024年度から会場をダラス・フォートワースに移して行われましたが、その初日の第1イベントで大会史上初の死亡事故が発生するという最悪の幕開けとなりました。

この縁起の悪い土地を1年でオサラバして、2025年からはニューヨーク州オールバニ ー市(Albany)に開催地を移すとゲームズ公式ウェブサイトが発表しました。

https://games.crossfit.com/video/crossfit-games-head-albany-ny-2025




オールバニ ー市はニューヨーク州都です。ニューヨーク市から北へ240kmほど離れた、人口10万人くらいの小さな街です。

私はドライブの途中に立ち寄ったことがあります。長い歴史をもつ由緒ある街だということですが、無学な私の目には「くすんだ土地だな」が正直な感想でした。

会場となるMVPアリーナは屋内施設で、映像で見る限りは都心部にあるみたいなので、いよいよ本格的に自然の中でのワークアウトはクロスフィット・ゲームズからはなくなるのでしょうね。

まあ、アメリカ以外の国から訪れることを考えると、ニューヨーク市から数時間という立地条件は便利といえば便利なのですけど。なにしろ、ウィスコンシン州マディソンは遠かった。

ご参考までに、クロスフィット・ゲームズ19年に渡る開催地の変遷は以下の通りです。

2007-2009: Aromas, CA
2010-2016: Carson, CA
2017-2023: Madison, WI
2024: Ft. Worth, TX
2025: Albany, NY

2025/01/07

クロスフィット・ゲームズのマスター部門で優勝4回のレジェンドが癌で死去

 








ウィル・パウウェル(Will Powell)さんが亡くなったことを、いくつかのクロスフィット関連のウェブサイトが報じています。

パウウェルさんはクロスフィット・ゲームズの50-54歳部門で1回、55-59歳部門で2回、そして60-64歳部門で1回、計4回の優勝歴を持つ、マスター部門のレジェンドでした。

パウウェルさん が真に偉大であったのは、癌と戦いながらその輝かしい戦績を挙げていたことです。

2014-2016年と3連覇を果たした後、2017年にパウウェルさんは癌と診断されました。肺から腫瘍を摘出する手術を受けながらも競技を続け、同年には12位、翌2018年には3位に入賞。2021年には4度目の優勝を果たしましたが、癌が再発し、腫瘍を再摘出する手術を受けました。

そしてさらに2023年には3度目となる手術を余儀なくされましたが、それでもパウウェルさんはクロスフィット・ゲームズに挑み続けました。翌2024年のオープンに参加し、60-64歳部門のランキング1266位で、準決勝ラウンドには進めませんでした。

ウィル・パウウェルさんのプロフィール:https://games.crossfit.com/athlete/59899

今年からは65歳以上部門に参加資格があったはずで、きっとパウウェルさんは命があったなら、5度目の表彰台を目指していたでしょう。まさにWill (意志)の名に相応しいアスリートでした。


パウウェルさんは2017年に少し変わった形でニュースになりました。その年のクロスフィット・ゲームズも、昨年死亡事故が発生した湖での水泳が最初の種目に含まれていました。水泳があまり得意でなかったパウウェルさんは溺れてしまい、競技中だった別のマスター部門アスリート、ロバート・カスリン(Robert Caslin)さんによって救助されたのです。

https://games.crossfit.com/article/masters-60-athlete-saves-drowning-competitor


苦手な水泳に挑戦したパウウェルさんも、自分の競技を諦めてでも救助を優先させたカスリンさんも、マスター部門には尊敬するしかないアスリートたちがいます。もっと注目されてもいいですよね。